HDD故障の原因と対策、復旧方法をデータ復旧の専門家が語る

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  企業・団体にとって経営資源であるデータの重要性が高まっている今の時代、重要なデータを保護して損失を防ぐことは、必要なリスクマネジメント施策となっています。備えるべき脅威として、サイバー攻撃や情報漏えい、災害による損傷以外にも、HDD等の記録メディア自体が故障してしまう事態が挙げられます。

 今回は、国内データ復旧業界におけるトップレベルの企業であるAOSリーガルテックの副社長、林靖二氏に、最も普及している記録メディアであるHDDに焦点を当てて、故障のメカニズムと対処法、復旧方法を解説いただきます。

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AOSリーガルテック株式会社 副社長  林 靖二 氏

HDDの構造

まずは基本的なところから教えてください。HDDはどのような構造の記録メディアなのでしょうか。

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HDDの構造

HDDにはプラッタと呼ばれるディスクが複数枚格納されており、プラッタの両面にデータが記録されます。データの読み書きは、磁気ヘッドが回転するプラッタの表面上を移動して行われます。他に、HDDの動作を制御する基盤が取り付けられています。

HDDが故障する原因と予防方法

HDDはなぜ故障するのでしょうか。

まずは経年劣化が挙げられます。HDDはプラッタを1分間に7,200回転させるモーターや、プラッタ上を移動する磁気ヘッドなどの機械で構成されており、摩耗や基盤の故障などが発生することで動作不良を起こします。また、部品が摩耗や変形した状態でHDDを動かすと、プラッタと磁気ヘッドが接触して記録面の損傷につながります。他にもプラッタ記録面の劣化による不良セクタの発生も挙げられます。
経年劣化以外には、強い衝撃が加わることによる破損や動作中の急な停電、ファイルシステムやOSの故障が挙げられます。
機械の故障や記録面の損傷は物理障害、ファイルシステムやOSの故障は論理障害として分類されます。

HDD故障の予防方法として、どのようなものが挙げられるでしょうか。

HDD故障を完全に防ぐことは難しく、バックアップの取得や故障前の複製による移行が対処法になります。一般的にHDDの寿命は3~5年とされています。高温やホコリを防ぐなど寿命を縮めないためにできることはありますが、寿命を長期的に伸ばすことはできません。HDDをデータ保存メディアとして用いるのであれば、数年の間隔で別媒体への移行を行うべきでしょう。
また、経年劣化によるHDD故障だと、多くのケースでユーザはHDDが動かなくなる前に異音など故障の兆候を認識しています。HDDから異音がする場合プラッタ回転軸の摩耗などが考えられ、その状態で継続使用するとプラッタと磁気ヘッドの接触で損傷が起きる危険があります。その前に復旧専門業者に相談するか、まだHDDのデータが読めているのであれば直ちに別メディアへのバックアップや移行を行い、データを守るべきです。

HDD故障における症状の軽重

故障の症状にも様々なものがありますが、症状が軽いケースと重いケースを教えてください。

AOSリーガルテックでは、HDD故障の症状を軽度、中度、重度の3段階に分けています。ファイルシステムやOSの障害などは軽度障害に、不良セクタの発生などは中度障害に分類されます。HDD動作時に異音が発生したり、破損や損傷などでHDDが正常に動作せず、データ復旧にHDDの開封や部品交換を要する場合は重度障害に分類されます。

HDDが故障したときの対処法

HDDが故障したとき、どのように対処すればいいでしょうか。

自力での復旧を試みず、復旧専門業者に相談してください。故障が生じている状態で再起動を繰り返したり無理に動かそうとすると、プラッタを傷つけるなど損傷が拡大する恐れがあり、場合によっては復旧不可能な状態に至る可能性があります。通電させるだけでも危険なので、基本的には一切触れず復旧専門業者への相談をお願いします。

AOSリーガルテックでは、データをどのように復旧させるのでしょうか。

まずはAOSリーガルテックのラボで復旧エンジニアが対象のHDDを診断し、生じているのが物理障害か論理障害なのかを判別します。論理障害であればHDDを専用のツールに接続してファイルを抽出し、別の新しいHDDにデータを移して復旧させます。軽度な論理障害であれば、多くの場合1~2日で復旧させることが可能です。

物理障害の場合は、データを復旧させるためにHDDを動かせる状態にすることが必要です。まずは対象のHDDを診断して、故障が生じている箇所を特定します。次にラボ内のクリーンルームにてHDDを分解し、故障が生じている箇所を正常な部品に取り替えます。AOSリーガルテックでは多種の正常なHDDをストックしており、正常なHDD部品はストックしているHDDから取り出して使用します。必要であれば内部のクリーニングなども行ってから、動くようになったHDDからデータを取り出して新しいHDDに復旧させます。物理障害は重度障害に分類され部品交換等を要するため、復旧には通常3~5日かかります。

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クリーンルーム内 物理障害復旧作業の様子

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部品調達用にストックされているHDD

AOSリーガルテックのデータ復旧実績

AOSリーガルテックが携わったデータ復旧の実績を教えてください。

近年では豪雨災害が相次いでおり、水没したHDDの復旧を多く手掛けて成功させています。このようなケースだと長時間水に浸かったりHDD内部に泥水が流入していることが多く、復旧が困難な場合もありますが、AOSリーガルテックの技術力で多くのデータを復旧させてお客様にお返しできています。

最後にデータ復旧業者としてのAOSリーガルテックの強みを教えてください。

3点あります。1点目は故障したメディアの診断が無料であることです。業者によってはPCからHDDを取り出す作業を行った時点で料金が発生したり、診断だけで数万円かかることもあります。しかしAOSリーガルテックでは無料で診断を行い、見積を提出しています。
2点目は価格が症状別の定額制であることです。同業他社だとデータ容量に応じた料金設定や、××円から、など不明瞭な料金設定がされている場合があります。AOSリーガルテックは、お客様にわかりやすいように軽度、中度、重度の症状別に定額の料金設定を行っています。
3点目は復旧後のデータに30日間の保証をつけていることです。復旧後のデータを新しいメディアに記録してお返ししても、何らかの理由でうまくお客様のPCに取り込めない、ファイルが読めないような事態が起きる可能性があります。このような事態に備えて、復旧後30日以内であれば再度の復旧を無料で承っております。

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復旧データの返却用HDDに貼付された保証書

まとめ

 今回はHDDが故障する原因と対策、復旧方法について、AOSリーガルテックの林副社長にお話を伺いました。HDDは便利な記録メディアですが、機械部品が多く故障することもあります。故障あるいは故障の兆候を感じた場合には、自力で対処すると損傷を拡大させる危険があるため、専門技術を有する復旧業者に相談しましょう。ワンビシアーカイブズはAOSリーガルテックと提携して、大事なデータが記録されたメディアが故障してしまったお客様に復旧サービスを提供しています。お困りの際はお問い合わせください。

AOSリーガルテック株式会社のHPはこちら

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