機密情報が保存された記録媒体の取り扱いについて ~ニュース事例を踏まえて~

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PCに挿して簡単にデータの読み書きができるUSBメモリやSDカード。日常的に使われている記録媒体です。でも、この簡単で便利さの反面、紛失や漏えいの原因となることも多いのです。今回は、記録媒体によって引き起こされた最近の事例から、情報管理のあり方について考えたいと思います。

事例1:保育士が園児の個人情報入りUSBメモリを紛失

1)事例の概要

中国地方の市立保育園の20代女性保育士が、園児の氏名などが記録されたUSBメモリ1本を紛失してしまいました。保育士は自宅で書類を作成するため、園長の許可を得た上で、土曜日保育を利用する園児の氏名や保育計画などが入ったUSBメモリを自宅へ持ち帰りました。数日後、保育士は紛失に気付き、園長に報告しました。このUSBメモリには職員の勤務表や職員会議録なども記録されていましたが、情報の流出や悪用は確認されていません。園は近く経緯や再発防止策を記載した文書を保護者に配布し、市は関係者の処分を検討しています。市長は「関係者に多大な迷惑と心配を掛けた。情報管理を徹底し、再発防止に努める」とコメントしています。

2)事例を踏まえて

今回の事例では、情報が記録された媒体を自宅へ持ち帰ることで、機密情報を紛失する事件につながってしまいました。そのような記録媒体を外部へ持ち出すことにより、紛失や情報漏洩のリスクは高まります。そのため、機密情報を保存している記録媒体の取り扱いには、細心の注意が必要です。特にUSBメモリは小さいため、紛失しやすくなります。今回は園長の許可のもと、自宅で書類作成をするためにUSBメモリを持ち帰りましたが、今後はUSBメモリの外部への持ち出しを禁止し、使用を園内のみに限定するなどの対策が必要です。また、別の角度から今回の事例を見てみると、自宅で書類作成を行うという、保育士の働き方自体にも問題があったといえます。

事例2:スマホ操作技術、中国企業に漏洩の疑い

1)事例の概要

スマートフォンなどに使用されるタッチセンサー技術に関する情報を、中国企業に漏らす目的で持ち出したとして、不正競争防止法違反(営業秘密領得)の疑いで、近畿地方の印刷企業の元社員が逮捕されました。

この元社員は2017年秋ごろ、会社の関連施設内で、同社が開発したタッチセンサー技術などに関する情報を、中国の精密機器会社に漏えいする目的で複製し、持ち出すなどした疑いが持たれています。

この企業は美術印刷で培った高度な印刷技術を応用し、独自のタッチセンサーを開発。画面を指で触って操作するスマートフォンやタブレット端末などの普及に伴い、近年は業績をけん引する主力製品となっていました。

元社員は情報を持ち出した直後に退職し、中国企業に転職しました。社内の内部調査で技術情報の不正持ち出しが発覚し、同社が警察に刑事告訴していました。

2)事例を踏まえて

事例2では、企業に勤める会社員が、企業秘密である技術情報を漏洩させてしまいました。本件は事例1とは異なり、情報漏えい自体を目的としているため、大変悪質な事件といえます。このような事件が起きた背景には、企業内での情報の複製や持ち出しが容易であったことや、社内の情報管理が不十分であったことが考えられます。特定の社員しか機密情報を取り扱うことができないアクセス制限や、簡単に複製・持ち出しができないような情報セキュリティ対策が必要なのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?情報記録媒体の取扱いの重要性を改めて認識していただけたと思います。

実際、2014年に発生したベネッセの個人情報流出事件では、ベネッセと業務委託先企業に損害賠償責任が認められています。

当社・ワンビシアーカイブズでは、原則として外部記憶媒体の使用を禁止しています。社内で使用するパソコンでは、USBメモリやSDカードなどの外部記憶媒体を差し込んでも、データが読みだせない設定になっています。また、個人情報を取り扱う区画では、退勤時に持ち物検査があり、情報を外部に持ち出すことができない運用をしています。ノートPCや書類を社外に持ち出す必要がある場合でも、上司の許可をとることはもちろんですが、個人情報保護規程や機密情報保護規程にもとづいた手続きをとり、すべての社内情報を厳格に取り扱っています。

情報管理には専門的な知識や長年培ってきたノウハウが必要ですが、知識やノウハウを一から取得するのは大変です。文書管理・情報管理の専門企業であるワンビシアーカイブズでは、電子契約サービス「WAN-Sign」やデジタルマネジメントサービスなど、長年培ってきた専門的知見を活かしたさまざまなソリューションを提供しています。機密文書や機密情報の管理体制を今一度ご確認いただき、対策を立てる際には、ぜひ一度ご相談ください。

<参考>

1)事例1:2019年6月5日・山陽新聞「保育士が園児情報入りUSB紛失」

2)事例2:2019年6月5日・京都新聞「スマホ操作技術、中国企業に漏えい疑い部品メーカー元社員逮捕」

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