建設業法と書類保存期間

  • 建設業法
  • 書類保管期間

 建設業法には、一定期間の書類保存を義務付けている条文があります。

 今回は、この保存が義務付けられる書類について、ダレが対象となるのか、どのような書類が対象となるのか、なぜ保存しなくてはならないのかという観点でわかりやすく説明します。

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建設業法で書類の保存が義務付けられるのはダレ?

結論から言いますと、 建設業許可を取得した建設業者はすべて書類の保存が義務付けらます。

建設業許可を取得すると、

  • 公共工事に入札できる
  • 500万円以上の工事ができる
  • 信用力があがる

といった利点がある一方で、

  • 許可の取得・維持にコストがかかる
  • 営業所ごとに、帳簿などを保存する義務が生じる

など、制約も生じます。

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保存しなくてはいけない書類

 建設業法では、帳簿・帳簿の添付書類・営業に関する図書の3つを保存することが義務付けられています。ここで言う"図書"とは、図面のことを指します。

保存に際して、注意すべき点は以下のとおり。

  • 各営業所で保存すべきものであり、本社で一括して保存してはいけません
  • 3種類の書類はすべて データでの保存が可能です。しかしながら、改ざんや不正を疑われた際の証拠性を考えると義務ではないものの タイムスタンプを付与するなどの対応を行うことが無難です。
  • 建設物の引渡し日を起算日として5年または10年の保存義務があります。
対象書類 起算日 法定保存期間 データでの
保存可否
備考
帳簿 当該建設工事の目的物の引渡しをした日 5年 -
帳簿の添付書類 -
営業に関する図書 10年 発注者から直接請け負った場合のみ
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帳簿に記載すべき事項

 帳簿には、以下の項目が記載されている必要があります。

分類 記載すべき事項
代表者に関する事項 ・営業所の代表者の氏名及びその者が営業所の代表者となった年月日
注文者と締結した建設工事の請負契約に関する事項 ・ 請け負った建設工事の名称及び工事現場の所在地
・ 注文者と請負契約を締結した年月日
・ 注文者の商号・名称(氏名)、住所、許可番号
・ 請け負った建設工事の完成を確認するための検査が完了した年月日
・ 工事目的物を注文者に引渡した年月日
発注者(宅地建物取引業者を除く。)と締結した住宅を新築する建設工事の請負契約に関する事項 ・ 当該住宅の床面積
・ 建設瑕疵負担割合(発注者と複数の建設業者の間で請負契約が締結された場合)
・ 住宅瑕疵担保責任保険法人の名称(資力確保措置を保険により行った場合)
下請負人と締結した建設工事の下請契約に関する事項 ・ 下請負人に請け負わせた建設工事の名称及び工事現場の所在地
・ 下請負人と下請契約を締結した年月日
・ 下請負人の商号・名称、住所、許可番号
・ 下請負人に請け負わせた建設工事の完成を確認するための検査を完了した年月日
・ 下請工事の目的物について下請負人から引渡しを受けた年月日
▼▼特定建設業者が注文者となって一般建設業者と下請契約を締結した場合のみ▼▼
支払に関する事項 ・ 支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段
・ 支払手形を交付したとき・・・・・・・・・・・・・その手形の金額、交付年月日及び手形の満期
・ 下請代金の一部を支払ったとき・・・・・・・その後の下請代金の残額
・ 遅延利息を支払ったとき・・・・・・・・・・・・・その額及び支払年月日
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帳簿に添付する書類とは

 帳簿にはケースに応じて以下書類の添付が必要です。

ケース 添付書類
全ての場合 ・ 契約書
特定建設業者が注文者となって一般建設業者と下請契約を締結した場合 ・ 下請負人に支払った下請代金の額、支払年月日及び支払手段を証明する書類
  又はその写し
【公共工事】
発注者から直接請け負い、下請け契約を締結した場合
 または、
【公共工事以外】
発注者から直接請け負い、下請契約の総額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円。)以上となる場合
工事完成後に施工体制台帳のうち以下に掲げる事項が記載された部分を添付
・ 自社が実際に工事現場に置いた主任技術者又は監理技術者の氏名及び
  その有する主任技術者資格又は監理技術者資格
・ 自社が主任技術者又は監理技術者以外に専門技術者を置いたときは、
  その者の氏名、その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する
  主任技術者資格
・ 下請負人の商号又は名称及び許可番号
・ 下請負人に請け負わせた建設工事の内容及び工期
・ 下請負人が実際に工事現場に置いた主任技術者の氏名及びその有する
  主任技術者資格
・ 下請負人が主任技術者以外に専門技術者を置いたときは、その者の氏名、
  その者が管理をつかさどる建設工事の内容及びその有する主任技術者資格
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営業に関する図書とは

ケース 対象書類
全ての場合 ・ 工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録
 ※相互に交付したものに限る。
建設業者が作成した場合
または、
発注者から受領した場合
・ 完成図
【公共工事】
下請け契約を締結した場合
 または、
【公共工事以外】
下請契約の総額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円。)以上となる場合
・施行体系図

<参考:国土交通省 建設業法令遵守ガイドライン(第5版)>
http://www.mlit.go.jp/common/001179283.pdf

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そもそもなぜ長期にわたって保存しなくてはいけないの?

法令で定められた義務であるということは言うまでもないですが、それ以上に 証明という意味合いが重要です。

  • 施主との間や業者間で、金銭トラブルがあった際に、過去のやりとりを証明する。
  • ムチウチ・腱鞘炎・難聴といった症状が工期後に発症した際、対象者が工事に従事していたことを証明する。
  • 法令に基づき正しく資格を持った従業員が現場の監督にあたっていたことを証明する。

など、証明が求められるシーンは数多くあります。

 いざ、証明が求められた際に書類がないから証明できない状態では困ってしまいますよね。そうならないために書類の長期保存が義務付けられているのです。

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まとめ

 いかがでしたか、建設業法で保存が義務付けられる書類について理解を深めていただけましたでしょうか。繰り返しになりますが、同法で 保存が義務付けられている書類は、有事の際に適正に業務を行っていたという証明のために重要な書類です。あらためて営業所ごとに確実な保存ができているか確認してみることをおすすめします。

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