2018年9月に入ってから、台風21号による四国、中国、近畿、中部および広範囲の日本海側における被害、北海道胆振地方中東部を震源とする地震と、大規模な災害が立て続けに発生しています。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。
2018年は上記の他にも、6月の大阪北部地震や7月の豪雨など大きな災害が発生しており、人々の生活だけでなく企業活動にも重大な影響をもたらしています。企業が有事にも活動を続けられるようにすることは、企業の経営だけでなく人々の生活を守る、早期に復旧させることにもつながります。2011年の東日本大震災を契機として、多くの企業に着目されるようになった事業継続計画・BCPですが、適切な見直しや運用はなされているでしょうか。
今回は、災害が相次いでいる今だからこそ、事業継続のために企業が行うべき対策を、改めて見直していきます。
災害対策としての事業継続計画策定のためには、有事にどのようなことが起きるか、どれだけの被害が出るかを想定することが必要です。そのための情報として各自治体が発信しているのが被害予測地図、いわゆるハザードマップです。
多くの自治体で作成・公開されているのは、豪雨や河川の氾濫の被害を想定した洪水ハザードマップです。他にも海に近い地域だと、震災時の津波や液状化ハザードマップ、火山が近い地域だと、噴火ハザードマップが作成されている所もあります。
ハザードマップを見ると、自宅や所属している企業が完全に水没したり、数メートルの高さの津波が押し寄せる想定がされていることもあります。あまり想像したくないこともあるでしょうし、ここまで大きな被害にはならないだろうと思われるかもしれません。しかし、先日の台風21号による水害は、洪水ハザードマップで想定されている浸水との一致度が高かったという報道がされています。ハザードマップの更新頻度は特に定められているわけではありませんが、最近ハザードマップが更新された地域もあるでしょう。改めて、企業の拠点所在地はもちろん、社員の通勤経路や流通ルート、企業活動を支えるインフラの所在地のハザードマップを確認し、災害想定と対策を見直してはいかがでしょうか。
災害などの有事において大事になるのは、適切な情報収集と判断・意思決定、対応を行うこと。そして対応を決めて行動に移すまでのスピードです。判断を誤ったり、遅れてしまえば企業活動が停止するだけでなく、最悪の場合は人的被害にもつながります。これらを実現するための手段はただひとつ、平時からの備えと訓練です。
災害対応マニュアルを策定していたとしても、それだけでは有事においてその通りに動けるでしょうか。マニュアルは実効性のあるものになっているでしょうか。有事に指揮を執り、マニュアルでカバーされている範囲の内外を問わず、判断と意思決定を行う責任者は明確になっているでしょうか。これらを確認し、実効性を伴う行動をとれるようにするためには、訓練を行っておくことが重要になります。
この場合の訓練とは、全社員が参加して半年に1回行われるような避難訓練のようなものではなく、有事において中心的役割を果たすメンバーで行う、より実践的な訓練を意味します。実際の災害をモデルケースとして、時々刻々と変化する状況を想定しながら、次々に入ってくる情報を元に迅速に判断を行う訓練方法があります。やってみると、判断スピードが追い付かない、状況と判断基準の見極めが大変、そもそもこのケースで意思決定すべきは誰なのか、などの課題に直面して、とても難しいということがよくわかるはずです。
また、システムがダウンする事態を想定して、バックアップ系システムやデータを用いて復旧する訓練を行ってみると、半分以上のケースで失敗するといわれています。バックアップ用のファシリティを要することは、有事におけるデータ保護にとても大事ですが、これらを機能させるためには平時における訓練を適切に行うことが必要なのです。
今回は事業継続のために、企業が行うべき災害対策を改めて確認いたしました。有事においてより実効性を伴う対策を行うには、地方自治体が作成しているハザードマップなどの情報から、災害発生時にどのような被害が出るのかを想定し、想定される事態に沿って、適切な対応ができるよう実践的な訓練を行うことが必要です。
ワンビシアーカイブズは情報資産管理のリーディングカンパニー、古くからお客様のリスクマネジメントやBCPを支援してきた企業として、お客様の大事な情報・データを安全なデータセンターで保管するとともに、バックアップデータからシステムを復旧する訓練の支援も行っています。
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