EDI契約と印紙税法の関係とは?


目次[非表示]

  1. 1.EDIとは?
  2. 2.そもそも印紙税法とは?
  3. 3.印紙税は本当に削減できるのか?
  4. 4.そもそも印紙税は何のためにあるのか?
  5. 5.EDIシステムと電子契約サービス
    1. 5.1.まとめ


これまで紙文書でやりとりされてきた契約業務を「EDI(Electronic Data Interchange)契約」で電子契約に置き換えることで、収入印紙代が削減できるというメリットに着目している方は多いでしょう。しかし、「本当に収入印紙代が削減されるの?後から請求されることはないの?」と心配している方もまた多いのではないでしょうか。

たしかに印紙税が削減されれば企業にとって大きなコストメリットがありますが、不安が解消されないまま導入には踏み込めません。そこで本稿では、EDI契約で印紙税がどう変わるのか、印紙税法の観点から解説します。


EDIとは?

EDIとはElectronic Data Interchangeの略称で、企業が行う取引の電子データ交換をサポートするシステムを指します。その多くが企業間取引で発生する契約書や納品書、検収書、作業報告書といった関連書類が含まれます。

EDIはWebサービスが普及し始める初期の段階から導入メリットが高いシステムとして注目され、流通業や製造業のサプライチェーンシステムなどで広く利用されている一方で、一般企業がEDIシステムを導入するケースは希と言えます。
その理由としては、部材調達など取引量が非常に多く、購買部門が中心となって取引を行うことも多く、取引の透明性などの観点からもシステム化のニーズが高かったと言えます。

一般企業の取引では、一部を除きEDIシステム以上に、電子契約サービスを利用しているケースの方が多いのではないでしょうか。

これは、電子契約サービスを利用する動機として、

  1. 取引会社の取引条件として電子契約が必要
  2. 契約業務の効率化
  3. 印紙税の節約

などが考えられます。
(1)と(2)については、各社の事情が勘案されるため評価は難しいのですが、(3)については、どの企業にも当てはまるメリットと言えますので、詳しく解説したいと思います。


>>電子契約に収入印紙は不要?非課税となる理由と注意点を紹介


そもそも印紙税法とは?

印紙税法は、明治32年(1899年)5月に制定された法律です。その後、昭和42年(1967年)に全部改正されています。この法律の概要は「印紙税法によって定められた契約書などの書面には印紙税を支払った証として収入印紙を貼り付ける」というものです。

ビジネスパーソンでなくとも、誰もが収入印紙を目にしたことがあるでしょう。最も身近なものとして50,000円以上の領収書に貼り付けられている200円の収入印紙です。例えばオフィス用品を購入した際にその合計金額が50,000円以上であれば、販売側は領収書に200円分の収入印紙を貼り付けます。印紙代は領収書の発行者が負担します。

企業間取引においても収入印紙を貼り付けることは多く、取引金額によって収入印紙の金額は変動します。


>>電子契約における契約書の文言とは?変更箇所や注意点を紹介


印紙税は本当に削減できるのか?

あらゆる取引に課せられる印紙税ですが、EDI契約によって契約業務を電子化すると本当に印紙税を削減できるのでしょうか?その根拠は2つあります。

1つ目の根拠は、国税庁のホームページに「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」という説明のなかで、請負契約の注文請書を電子メールで送信した場合、印紙税が課税されない理由を下記のように述べていることです。

注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならない


この文章を要約すると「印紙税は課税文書の作成に対して課税がされる。ただし、この作成とは交付を含むものであるため、注文請書を電子メールまたはファクシミリで送信した場合、現物(書面)の交付が行われたことにはならないため、課税文書は作成されておらず印紙税は課税されない」ということになります。かなり噛み砕いて言えば「文書そのものが相手の手に渡っていなければ課税文書を作成したことにはならず、課税されない」といことです。

そのため作成した文書を紙で渡すのではなく、電子データやFAXで送信した場合は課税対象にならないことを国税庁自身が公認しています。


もう1つの根拠とは「第162回国会質問注意書内閣総理大臣答弁書その五」に記載されている、当時の小泉総理大臣の答弁です。下記でその一部を抜粋します。

事務処理の機械化や電子商取引の進展等により、これまで専ら文書により作成されてきたものが電磁的記録により作成されるいわゆるペーパーレス化が進展しつつあるが、文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。


以上の2つの根拠からEDI契約によって契約業務を電子化した場合、印紙税は課税されず、そこにかかっているコストを大幅にカットできることになります。


>>電子契約と印紙の関係


そもそも印紙税は何のためにあるのか?

印紙税を歴史上最初に施行したのは1624年のオランダです。税務職員だったヨハネス・ファン・デン・ブルックが発案し、1568年から1648年にかけて行われた八十年戦争のさなか、独立国家となったオランダが戦費調達のために実施したそうです。それ以降、デンマークやフランス、イギリスといった現在のヨーロッパ諸国でも印紙税が適用され、日本では明治3年(1873年)に初めて施行されました。

先に紹介した小泉総理大臣の答弁では、印紙税の目的について下記のように述べています。

印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税である


要約すると「印紙税とは書面として作成された契約書には法的効力が発生し、その効力を保証している国に対して軽度な税金を支払う義務がある」というものです。従って経済的利益が発生する契約書には印紙税が課税されることになります。


EDIシステムと電子契約サービス

EDIで業務を開始するにためには、実は大掛かりなシステム設計と導入が必要となります。

一般的な手法としてWeb型のサービスを導入するとしても、ユーザ権限の管理や取引種別の登録、納品、受入などのフローの自動化、請求処理など、対象業務に対する基本設計が必要となります。またEDI取引を行うことを基本取引契約書に明記する必要があり、また操作関係のマニュアルやサポートデスクなどの配備も必要となります。

一方で電子契約サービスは契約業務に特化しているため、基本的なフローは確立されていて、契約書の作成から締結、保管までの流れが網羅されていることで成立するため、契約当事者間の合意事項も少なく、紙ベースでの契約行為とほぼ同一の流れを電子的に行えば良いため、混乱も少ないと言えます。

クラウド型サービスも多く、利用契約を結ぶだけですぐに始めることができるのも、電子契約に特化したサービスの特徴と言えます。


>>電子契約で紙はなくなる?書面契約との上手な管理


まとめ

いかがでしたでしょうか。
ワンビシでは、従来の紙文書保管にとどまらず、書類保管サービス電子契約サービスを提供することで、お客様の情報資産をトータルでサポートします。文書管理から書類の電子化、電子契約まで、社内の情報資産を安全に管理したいとお悩みのお客様はお気軽にご相談ください。


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