電子契約に関係する法律9選!企業が安心して運用するために必要な知識

(更新日:2023年12月25日)

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  1. 1.電子契約は法律に準拠した運用が必要
  2. 2.電子契約に関する9つの法律と概要
    1. 2.1.①民法
    2. 2.2.②民事訴訟法
    3. 2.3.③電子署名法
    4. 2.4.④電子帳簿保存法
    5. 2.5.⑤電子契約法(電子消費者契約法)
    6. 2.6.⑥デジタル改革関連法
    7. 2.7.⑦IT書面一括法
    8. 2.8.⑧e-文書法
    9. 2.9.⑨印紙税法
  3. 3.2022年1月に電子帳簿保存法が改正
  4. 4.法律に準拠した電子契約・契約管理なら『WAN-Sign』
  5. 5.まとめ



電子契約は、契約のペーパーレス化によって業務の効率化やリードタイムの短縮などのメリットがありますが、法律に準拠した運用が求められます。

代表に挙げられる法律には、電子帳簿保存法や電子署名法、デジタル改革関連法など多岐にわたり、実務に関わる法律は正しく理解しておく必要があります。

この記事では、電子契約に関係する法律9選と企業が安心して運用するために必要な知識を紹介します。

電子契約は法律に準拠した運用が必要

電子契約とは、従来の紙ベースで取り交わす契約とは異なり、電磁的記録で契約書の作成および締結を行う契約のことです。

電子契約を事業で利用する場合、電子帳簿保存法や電子署名法などのさまざまな法律に準拠する必要があります。

各法律では、契約において電子契約が成立する要件や、電磁的記録の保存法、電子商取引におけるトラブル発生時の措置などの規定が定められています。

電子契約にかかる各法律の要件を満たしていない場合、国税調査時などにペナルティが課せられる可能性があるため、確実に守りながら運用することが大事です。

電子契約に関する9つの法律と概要

ここからは、電子契約の締結や電磁的記録の取り扱いなどに関連する法律と概要を紹介します。

①民法

民法第522条第1項と第2項では、契約を成立させるためのルールを定めています。

契約の成立と方式
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

出典:『民法第522条第1項・2項』

第1項は、当事者同士で契約の意思表示があった場合、その契約が成立することが書かれています。

第2項では、特定の法令に該当しなければ書面の作成がない場合でも契約が成立することが書かれており、当事者同士の合意があれば電子契約書でも契約が成立することを意味しています。

②民事訴訟法

民事訴訟法では、電子契約のために作成した電磁的記録(PDFファイル)が民事訴訟の証拠になり得ることがわかります。

自由心証主義
第二百四十七条 裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。

出典:『民事訴訟法247条』

この自由心証主義では、電磁的記録(それを記録したCD-RやDVD-Rなどのメディア)での証拠であっても、書面と同様に証拠となり得ることを意味しています。

③電子署名法

電子署名法は正式名称を「電子署名及び認証業務に関する法律」といい、2001年4月に施行されました。紙文書の契約書や請負書などは、改ざんが難しいことや、押印や署名によって本人確認を容易にできるといった効果があったので、広く一般化されていました。

一方、情報化社会が進んだことで、電子データでの契約書などの作成・保存ニーズが高まりました。しかし、電子データ化された契約書などは改ざんが容易であり、かつ本人確認に必要な押印や署名ができないことから、電子データ化できない企業が多く存在していたのです。

こうした事情を背景に、電子データでの契約書などでも、改ざんを難しくし、かつ本人確認を容易にするための基盤と情報基盤を整えたのが電子署名法です。

電子署名を契約書などに記す際は、個人的な電子署名の他に、タイムスタンプと電子証明書というものが必要です。

まずタイムスタンプとは、時間の改ざんを防ぐために記す電子署名です。電子データ化された契約書などには「いつ作成されたか」という情報が記録されますが、あくまで端末の時刻を反映しただけなので、改ざんが容易です。そうした改ざんを防ぐために、書面にタイムスタンプを押すことで、時間の改ざんがないことを証明します。また、記された時間に、実際にその書面が存在したことをも証明できます。

電子証明書とは、国が認定する認証局によって発行される「この法人・個人は本当に存在し、電子証明は本物ですよ」と証明するための電子データ化された証明書です。誰もが好き好きに電子署名を行えるほうでは、改ざんや偽装などが容易になります。しかし、認証局からの電子証明書があれば、本人確認を容易に行えるということです。

電子署名法」についてはこちらもご参考にしてください。


>>電子契約における電子署名とは?電子サインとの違いを紹介


④電子帳簿保存法

正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。1998年7月に制定され、2005年3月と2015年9月30日に改正されています。

この法令が定めていることは、次の2点です。

  1. 国税関係帳簿書類の電子保存を認めること
  2. 国税関係帳簿書類のスキャナによる電子保存を認めること

つまり、これまで紙文書でのみ保存を認められていた帳簿書類に対して電子データでの保存を認めるというものです。

しかし、すべての帳簿書類を電子データ化してもよい、というわけではありません。電子保存できる帳簿書類は決まっています。

≪電子保存できる主な帳簿書類≫

  • 帳簿...総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金・買掛金元帳、固定資産台帳、売上・仕入帳
  • 決算関係書類...棚卸表、貸借対照表、損益計算書、その他決算に関して作成した書類
  • その他の証憑類...契約書や領収書及その写し、見積書、請求書、注文書、契約の申込書、納品書、検収書

契約書に関していえば、電子保存可能な書類は3万円未満という金額規制がありました。しかし、2015年9月の法改正により、この金額規制が廃止されました。


>>電子契約における契約書の文言とは?変更箇所や注意点を紹介


⑤電子契約法(電子消費者契約法)

電子契約法は電子消費者契約法とも呼ばれており、消費者が電子商取引の申込みで操作ミスをしたときの救済や、電子商取引での契約成立のタイミングなどを定めた法律です。

電子契約法第3条第1項・第2項の電子消費者契約に関する民法の特例では、操作ミスによる意図していない商品・サービスの注文・申込みに対して、錯誤無効制度の特例の措置がされる可能性があることを示しています。

電子消費者契約に関する民法の特例
第三条 民法第九十五条第三項の規定は、消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について、その意思表示が同条第一項第一号に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであり、かつ、次のいずれかに該当するときは、適用しない。ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。以下同じ。)が、当該申込み又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。


一 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。


二 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき。


出典:『電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律』

⑥デジタル改革関連法

デジタル改革関連法とは、データの多様化・大容量化が進展するなかで、社会的な課題解決のためにデータ活用を推進することや、データの悪用・乱用による被害を防止するために施行された法律です。

電子契約に関係するものは『デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律』であり、同法律によって押印・書面の交付などを求める手続きが見直されました。これにより、これまで電子化のハードルが高かった不動産業界などでも電子契約書が利用されるようになった背景があります。

⑦IT書面一括法

IT書面一括法は、正式名称を「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」といい、紙文書での交付が義務付けられていた文書を、メールやWebでの交付を認めるという法令です。

電子帳簿保存法と混同されがちなので違いを簡単に説明すると、IT書面一括法はあくまで「電子書面でのメール・Web交付を認める」という法令であることです。特定の文書を定める法律ではなく、法改正のための法令と言っていいでしょう。


>>電子契約に関連する法律と要件を紹介


⑧e-文書法

e文書法は正式名称を「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」といい、2005年4月に制定されました。

この法令は、これまで紙文書による保存を要件としてきたものを、電子データによる保存を認めるというものです。

概要としては電子帳簿保存法にかなり類似しています。その違いはまず、電子帳簿保存法は、「国税に関する法令」に対し、電子データでの保存を認めるという法令です。一方e文書法は、多数ある法令に対し、一括で電子データでの保存を認める法令です。

これにより、各法令の改正を行う必要がありません。


>>電子署名とは?導入のメリット・デメリットと必ず知るべき注意点


⑨印紙税法

印紙税法が制定されたのは1899年と古く、以降1967年に全部改正がされています。その概要は、一定金額以上の取引や領収証に対して「印紙税」という税金を課するものです。

領収書や契約書などに収入印紙を貼り付けることで、印紙税を収めたという証明になります。

ではなぜ、「領収書や契約書などに印紙税を支払わなければならないのか」という問いに関しては、2005年当時の内閣総理大臣である小泉純一郎氏が、第162国会での質問に対する答弁書で次のように記載しています。

「印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税である――」


出典:内閣府『平成十七年三月十五日. 内閣総理大臣 小泉純 一 郎. 参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対し、 別紙答弁書を送付する。』

これはつまり、領収書や契約書がその効力を発揮するのは、法律による規定があるためであり「それを保証している国に対して税金を払ってください」というものです。ただし、領収書や契約書が電子データ化されたものなら、印紙税は必要ありません。

このように、電子契約に関する法令は多く、電子契約を利用するにあたって理解を深めておくことが重要です。


>>電子契約と印紙の関係

>>電子契約で紙はなくなる?書面契約との上手な管理


2022年1月に電子帳簿保存法が改正

電子契約のデータ保存に関連する義務を定めた電子帳簿保存法は、2022年1月に施行された法改正によって一部の内容が見直されました。

国税庁が公開した『電子帳簿保存法が改正されました』では、以下の変更点がわかりやすくまとめられています。

  • 税務署長による事前承認制度の廃止
  • 優良な電子帳簿にかかる過少申告加算税の軽減措置の整備
  • 最低限の要件を満した電子帳簿に対する電磁的記録の保存など

電子契約に関する各法律は、定期的に見直しが行われているため、法改正に迅速に対応可能な電子契約システムの導入が望ましいです。

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まとめ

この記事では、電子契約に関する法律について以下の内容で詳しく解説しました。

  • 電子契約に関する9つの法律と概要
  • 2022年1月以降の電子帳簿保存法の一部改正
  • 法律に準拠した電子契約・契約管理サービス『WAN-Sign』

電子契約に関連する法律は、電子帳簿保存法や電子署名法、e文書法など多岐にわたります。

電子契約サービスを導入する際は、各法律の電子契約に関わる部分を正しく理解するとともに、法改正に柔軟に対応することが大事です。

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