取締役会議事録の電子化がより簡単に。法務省の新解釈を解説します | 株式会社ワンビシアーカイブズ

取締役会議事録の電子化がより簡単に。法務省の新解釈を解説します

2020.06.11  株式会社ワンビシアーカイブズ

取締役会議事録の電子署名

法務省がこの度、「リモート型」や「クラウド型」電子契約での取締役会議事録作成を容認しました。今回はこの動きについて解説してまいります。

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取締役会議事録とは?

株式会社において、業務執行の意思決定機関となる取締役会ですが、この取締役会の議事録は会社法369条3項、会社法施行規則101条2項により、作成しなければならないとされています。
その議事録については会社法施行規則101条3項、4項に定められた事項を記載し、会社法371条で定められた保管を行わなければなりません。作成時期に制限はありませんが、代表取締役が選定されて登記申請する場合や、裁判所からの閲覧請求などに対応するためにも大体の企業は開催後1週間程度で作成していることが多いそうです。

会社法第369条
取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。

(略)

3 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

(略)

今までの議事録作成はどのように行われていたのか

取締役会議事録ですが、作成は書面だけでなく電磁的記録での作成も認められています。 電磁的記録とは「磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの(会社法施行規則224条)」とされていますが、ここでは分かりやすくPDFとします。

PDFで取締役会議事録を作成した場合、上記の会社法369条3項で義務付けられている署名・押印には制約がありました。同法4項、会社法施⾏規則第 225 条においては電⼦証明書を用いた電⼦署名のみ、つまりWAN-Signでいう実印版の電⼦署名のみが認められており、メール認証である認印版は認められていなかったのです。

会社法第369条
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

会社法施行規則第225条(電子署名)
次に掲げる規定に規定する法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。

(略)

 6.法第369条第4項(法第490条第5項において準用する場合を含む。)

(略)

2 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
 1.当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
 2.当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

新解釈により、変わったことは?

今回、法務省から経団連など主な経済団体に対して「リモート型」や「クラウド型」の電子署名でも、取締役会議事録の電子作成を認めました。つまりWAN-Signでいう認印版での電子署名も認められたということです。
通常の取締役会議事録を書面で作成した場合、「署名」のみ,又は「記名押印」と選択肢があり、また印鑑についても実印を求められているものではありませんでした。今回によってPDF作成時のときだけ電子署名方法が限定的だったのが、選択肢が出来たことになります。より電子署名とリアル世界の印鑑との規制差が減ってきたことが伺えます。

ではここでいうリモート型とクラウド型とはいったい何なのでしょうか?リモート型とは例えば電子契約を提供している事業者のサーバーに自身の署名鍵を設置・保管し,電子署名を行う際は自身がサーバーにリモートでログインし、当該事業者のサーバー上で保管していた署名鍵を使って電子署名を行うものです。
クラウド型とは自身の署名鍵をクラウド上に保管し、電子署名を行う際はクラウド上で書類を確認し、保管していた署名鍵を使って電子署名を行うものです。

何故変わったのか

何故今回、クラウド型、リモート型を認めたのでしょうか?それは現在日本で普及している電子契約の多くがクラウド型である中で、押印手続を簡素化したい経済界からの強い要望があったことが考えられます。新型コロナウィルスの感染防止のためにリモートワークを推し進めたいのにも関わらず、押印のために出社せざるを得ないケースが相次ぎ、このような要望が強まったのでしょう。
要望を受けた法務省民事局も、取締役会議事録の確認であれば取締役会に出席した取締役・監査役が議事録の内容を確認し、異議がないことを示すものであれば足りることと判断し、今回認められたのではないかと考えられます。

解決されていない動き

この取締役会議事録作成の簡素化ですが、まだすべてクラウド型が許容された!と喜べる状態ではありません。
取締役会の内容によっては、つまり代表取締役選任などの登記申請を必要とする内容の決議が行われた場合、この議事録は登記手続の際に添付する義務があります。ここで提出できる電子署名は商業登記証明書が必要とされております。(商業登記規則102条)

しかし書面でもこのような決議の場合、実印の押印と印鑑証明書の添付が求められております。そのため登記申請の場合は商業登記証明書を利用することを限定していることは、既存規約と同等のようにも感じます。
やはり電子証明書を利用した当事者型の電子契約ではなく、メールアドレスなどによって締結するクラウド型などでは、なりすましのリスクは払拭できません。サービス事業者が立会って「確かに契約があった」と証明しても、果たしてその立会いをした事業者にどこまでの義務・責任があるのかは不鮮明です。
やはりクラウド型・リモート型では電子証明書を利用した電子署名と同等の本人性担保ができているかは難しいところです。

今後登記手続の電子署名だけが簡易になっていくのか、注目されるところだと思われます。

※2020年7月6日よりWAN-Signによる商業・法人登記のオンライン申請利用が可能になりました。(2020年7月8日追記)

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回の法務省の動きではリアル世界の印鑑と電子世界の電子署名、この利用差を無くす動きとして大変大きな決断をされたものだと感じられます。リモートワーク推進のさなか、法的解釈が世間を賑わし、ますます電子契約が注目されることとなるでしょう。

ワンビシアーカイブズでは電子証明書による電子署名、クラウド型による電子署名、どちらも対応した電子契約サービス「WAN-Sign」を展開しております。取締役会議事録の電子化にご興味がある方はぜひサービス詳細をご覧ください。

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