紙への押印はもう古い?注目の電子印鑑を解説します

(更新日:2023年8月7日)​​​​​​​

目次[非表示]

  1. 1.電子印鑑とは
  2. 2.画像化した印影と電子印鑑の違い
    1. 2.1.誰が押したか(本人性)が確認できない
    2. 2.2.その電子データが改ざんされていないか(原本性)が確認できない
  3. 3.電子印鑑の種類
  4. 4.電子印鑑のメリット
  5. 5.まとめ



新型感染症の拡大を防ぐため、現在多くの企業が在宅勤務、所謂リモートワークへの切り替えを行いました。
しかし実態は社内稟議や押印のために会社に出社しなければ仕事にならない企業が相次ぎ、この問題に竹本直一IT担当相が「しょせんは民・民の話」と答えたことから印鑑の電子化に対する注目が高まりました。GMOインターネットグループでは印鑑の完全廃止に取り組み、日本経済団体連合会(通称:経団連)の中西宏明会長は「印鑑はナンセンス」として電子署名の代替を求めています。

※GMOインターネットグループの印鑑完全廃止に関する取り組みはこちら⇒GMOインターネットグループ公式サイト

今回は電子印鑑について解説をしていきます。



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電子印鑑とは

電子印鑑とは電子契約を指す場合と、印影を画像化したものを指す場合の2パターンあります。

紙に押印をすることは「この書面が原本であり、記載内容に同意する」ことを証明してきました。紙に代わり電子データ(PDFなど)の場合、この押印に代わるものは電子署名、電子サインによる電子契約です。そのためこの電子契約を電子印鑑と呼ぶ人もいます。
しかし中には画像データ化された印影(.jpgなど)を電子印鑑と呼び、無料作成しているサイトも多くあります。しかし画像データ化した印影を電子データに張り付けるだけではその電子データが原本なのか、記載内容が改ざんされていないかなど、今までの押印で行えていたことの代替ができないことが多くあります。最近では区別するためにこの画像化した印影のことを電子印影と呼びます。


>>電子帳簿保存法における電子印鑑とは?使用する際の注意点を紹介


画像化した印影と電子印鑑の違い

前述したように電子印影(画像化した印影)では印鑑の代わりになることのできない要素が2つあります。

  1. 誰が押したか(本人性)が確認できない
  2. その電子データが改ざんされていないか(原本性)が確認できない


誰が押したか(本人性)が確認できない

電子印影は電子データに画像データを張り付けるだけなので、その画像を持っている人、もしくはその画像を作成できる人であれば誰でも可能です。例えば何か電子データに記載されていた印影をトレース(切り抜く)ことで、簡単に画像データは作成できてしまいます。

紙での押印の場合、種類によってはその本人しか保有していない印鑑であるために、本人が押印したものだという証明ができましたが、電子データ上では電子印影は誰でも作成が可能なため、どんなに複雑な印影であっても本人性を保証することはできません。


その電子データが改ざんされていないか(原本性)が確認できない

紙に朱肉で押印をすることで、朱肉が持つ独特の厚みやインク感などによりその書面が契約時の原本そのものであると証明することができました。しかし電子データでは画面上で確認、もしくは印刷をかけたとしてもコピー機のインクで一律に印刷されるため、その印影が記載されているからと言ってその電子データが原本そのものなのか、改ざんされていないかの証明はできません。PDFの文章を書き換えることは誰でも容易に行えます。そのような改ざんが行われていないかどうか、電子印影では保証することはできません。

この二つが満たされない電子契約は、電子署名法において書面に押印された契約書と同等の法的効力は認められていません。
タイムスタンプや電子証明書などによる契約を行う電子印鑑はこの2つが保証されるため、押印の代わりになることが大きな違いです。

【電子署名及び認証業務に関する法律】第二章 電磁的記録の真正な成立の推定
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。


>>電子契約に印鑑が不要な理由と電子印鑑のリスクを紹介


電子印鑑の種類

意思証明程度を行う「認印」と印鑑登録を行うことで法的効力を持つ「実印」のように、電子印鑑にも種類があります。今まで電子印鑑と言われていた電子印影の他に、メール認証による電子印鑑と電子証明書による電子印鑑、3つの種類があります。

まず「メール認証」とは契約締結を行いたい電子データへのアクセス用URLを送ったメールアドレスにアクセスができる本人が締結したとする契約です。クラウドサービス型の電子契約の場合、契約を行いたい電子データをまずサーバー上にアップロードし、契約相手方のメールアドレスを入力します。サービス側がその締結を行う予定の電子データへの専用アクセスURL作成し、入力されたメールアドレスに送信をします。例えば第三者が不正にメールサーバーへアクセスをしない限り、作成された専用アクセスURLにはメールを見られる(メールアドレスを保有している)本人しかアクセスできないため、このメール認証による契約が行われています。

ただし前述したように、第三者によるメールサーバーへのアクセスやPCのロックし忘れでメールが見られる状況が発生しうる可能性があります。
そこでメール認証より本人性が保証されているのが「電子証明書」による電子印鑑です。「電子証明書」とはWeb上での持ち主の情報を証明してくれる、現実世界における印鑑証明書のような「身分証明書」のことです。印鑑証明書と同じように、認証局と呼ばれる組織が、持ち主の身元情報を認証し発行します。現実世界の実印に近い感覚のため、今まで実印で行っていた厳格な契約にはこの「電子証明書」による電子印鑑が利用されています。

電子署名と電子サインの使い分け参考:公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA) 電子契約活用ガイドラインVer1.0(取引書類の性質と締結方法)


>>電子契約における電子署名とは?電子サインとの違いを紹介


電子印鑑のメリット

今までの印鑑から電子印鑑に切り替えることのメリットは何でしょうか。

弊社ではそのメリットについてはこちらで詳しく解説しておりますが、現在は特に「押印する場所を選ばないこと」が一番のメリットだと考えます。
印鑑を会社で保管しているため、現在出社がままならない状況で書類に印鑑を求められ困った経験がある人が増えたのではないでしょうか?印鑑は実物が保管されている場所でしか押印ができませんが、電子印鑑はネットワークにつなげる環境とメールを見られる環境であればどこでも押印が可能です。
またその書類を郵送などで送るなどの手間もなくメールでやり取りができるため、リモートワークに最適といえるでしょう。


>>電子署名とは?導入のメリット・デメリットと必ず知るべき注意点


まとめ

今注目の電子印鑑について、いかがでしたでしょうか?リモートワークが主流の現在、場所も選ばず押印することができ、書面への契約と同等をみなされている電子印鑑を導入する企業は益々増えてくるかと思います。押印のためだけに出社しなければならないという状況が解消されることを切に願います。

私たちワンビシアーカイブズでは、電子署名法上安心のGMOインターネットグループのGMO電子印鑑「Agree」に50年のアーカイブ事業で得た契約書管理ノウハウを追加した電子契約サービス「WAN-Sign」を提供しています。電子印鑑導入に少しでもご興味がありましたら、ぜひお問い合わせください。

末筆ながら新型コロナウイルスに罹患された皆様の一日も早いご快復を祈念します。

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