進化する磁気テープ、その歴史と未来のテクノロジー

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 カセットテープやVHSが、CDやDVDのような光学メディアの普及によって市場からほぼ姿を消したこともあり、「磁気テープ」は過去の存在と認識されることが一般的と考えられます。しかし、企業のデータ管理を目的とした磁気テープは、大容量かつ低価格で長期保存にも適するメディアとして進化を続けています。データの大容量化がもたらす各種課題に直面している企業からは優れた記録メディアとして再評価、採用され、その市場も拡大しています。

 今回は、磁気テープの歴史を振り返りながら、大容量データの長期保存媒体としての有用性を再確認いたします。

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1950年代 - 世界初の磁気テープストレージ

 世界初の商用コンピュータ用磁気テープは、1951年に米コンピュータ企業であるレミントンランド社(現Unisys)が発売した商用コンピュータUNIVACⅠに搭載されたテープストレージとされています。UNIVACⅠは国勢調査に始めて利用された商用コンピュータとして知られています。

 UNIVACⅠ発売翌年の1952年に、IBM社はデータメディア企業の3M社が開発した磁気テープを使用したテープユニットを発表しました。当時記録媒体として主流であったパンチカードの50倍以上の処理能力を持ち、パンチカードに変わる記録媒体として大きく普及しました。

 また、1950年代における磁気テープの容量は180MBでした。

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1980年代 - テープオートメーションと市場縮小

 1980年代に入ると、「テープオートメーション」という新しい技術が導入されます。

 各社からテープユニットが発売され、カートリッジの小型化/大容量化も進んでいましたが、ドライブへの磁気テープセットには人手が必要でした。

 しかし1984年、IBM社から世界初の磁気テープサブシステムであるIBM 3480が発表され、一台のシステムに8台のテープドライブを接続する事ができるようになりました。各テープドライブに最大6巻のカートリッジを自動でロード/アンロードする機能を持つ画期的なものでした。

 1987年にはOracle社から最大5,970巻のカートリッジを搭載できるStorageTek 4400が発表されています。

 しかし、技術進化の一方で磁気テープ市場は徐々に縮小していきます。その背景にあるのがHDDの技術革新です。HDDの保存容量は飛躍的に伸び、さらに1MBあたりの価格も大幅に下落したことから、企業のデータストレージとしてHDDが急速に普及していきます。

 1980年代後半には光メディアも登場し、磁気テープはデータストレージとしての地位を失っていったのです。

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1990年代 - 再注目の兆し

 1990年代に入ると大容量化のニーズを受け、磁気テープも1GB以上のデータを保存できるようになりました。

 この大容量化と企業が保有するデータ増加も相まって磁気テープの有用性が再び認められ、徐々に市場を回復していきます。当時、HDDなど別種のメディアも大きな進化を続けていましたが、磁気テープの体積あたりの保存容量は、当時も現在もHDDや光ディスクより大きいものとなっています。

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2000年代 - LTO規格の第一世代が登場

 DLT(デジタルリニアテープ)規格を中心に技術進歩や標準化を遂げてきた磁気テープに、2000年代に入って新たな規格が誕生します。それが現在主流となっているLTO(リニアテープオープン)規格です。

 LTO規格は磁気テープの技術革新のため、HP社、IBM社、Seagate社(Quantum社)の3社が共同で作成した規格であり、磁気テープ技術に様々な刷新が行われました。2000年には各社から第一世代(LTO1)の磁気テープが発売され、100GBという大容量の記録媒体へと進化しています。

 以降LTOは磁気テープ規格の主流となり、次々に新世代の製品が発売されていきます。

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2010年代 - 磁気テープの最大保存容量がTB単位に

 LTO規格をもとにした磁気テープは2010年に第五世代(LTO5)がリリースされ、この時点で保存容量1.5TBを実現していました。

 さらに2012年に保存容量2.5TBの第六世代(LTO6)がリリースされ、2015年にリリースされた第七世代(LTO7)は6.0TB(圧縮時は15TB)のデータが保存できる記録媒体に進化しています。

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2020年代 - 220TBの大容量磁気テープが登場

 2014年9月に発表されたLTOのロードマップでは、第十世代(LTO10)までのリリースが確定しています。

 第八世代では容量が12.8TBと第七世代の2倍以上に増加し、第九世代では25TB、さらに第十世代では48TBと、容量が現在の8倍にもなると言われています。また、磁気テープ開発の現段階の技術見通しとして、220TBの大容量磁気テープが開発可能であるという実証データが発表されています。

こちらの「磁気テープの寿命は30年? データ長期保存で起きる問題とは」記事でご参考にしてください。

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まとめ

 古い技術とみなされる傾向にある磁気テープは、常に進化を続けている記録媒体です。磁気テープ最大の利点は「大容量データを抵コストで保存できる」という点にあり、急速な増加を続ける企業データの管理問題を解決する策として注目を集めています。磁気テープを活用することで、法令で保存が定められたデータの保管だけでなく、コンプライアンスや訴訟対応を目的としたデータの長期保管も可能になります。

【参考文献】

テープストレージ動向 -2013年版- JEITA テープストレージ専門委員会

執筆者名プロフィール

執筆者名 ブログ担当者

株式会社NXワンビシアーカイブズ 

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