コンプライアンス対応やビッグデータ活用の重要性が高まった現代ビジネスにおいて、過去のデータを適切に管理するということが、大きな企業課題になりつつあります。そして、重要な経営資産であるデータ保管の選択肢として、デジタルアーカイブへの注目度が高まっています。
特に大容量データを安全に長期保管する上でデジタルアーカイブは最も有力な選択肢の一つであり、企業に様々なメリットをもたらします。
今回はデータ管理の重要性や課題について解説しつつ、いくつかの保管方法を比較していきます。
データ管理の重要性
企業経営を実践する上でデータはなくてはならない存在であるとともに、企業は日々データを大量に生成し続けています。
データは増え続ける一方であり、内部統制やコンプライアンス、法令遵守などへの適切な対応のための保存に加えて、新たな潮流も見込まれています。
例えば、ビッグデータ活用に注目が集まったことで、過去のデータを有効活用することで企業価値に転換できる時代になりました。多くの企業が大規模なデータをマイニングや機械学習などの手法を用いて分析し、ビジネスに有用な知見から経営戦略を模索しています。
また、最近ではクレームや訴訟対策としてあらゆるログを残す傾向にあり、IoTやM2Mといった機械から生成されるデータなど私たちを取り巻く環境は大きな変化を迎えようとしています。
企業は、これら無秩序に生成されるデータを、経営戦略へと転換し、かつ、経営リスクを最小化することに活用する必要があります。そして、これら膨大なデータを効率的に管理できる経営システムが必要不可欠になってきているのです。
データ管理の課題と対策
企業においてデータ管理は大きな課題になりつつあります。データ量が増加することで生じる管理コストや管理工数、データ消失のリスク、コンプライアンスの遵守など様々な課題を抱えています。
では、適切なデータ管理を行うために、これらの課題をどのように解決すれば良いのかをご紹介しましょう。
コストを抑えて大容量データを保管する
第一に考慮すべきは大容量データ保管におけるコストです。「データを保管する」ということは、何らかの手段で保管するためのスペースを確保することが必要です。そしてスペースを確保するためには必ずコストがかかります。
保管庫を用意するのか、ファイルサーバを増設するのか、クラウドサービスを利用するのか、あるいは、デジタルアーカイブサービスを利用するのか、選択肢はいくつか用意されています。
その中から現状のデータ量と将来的な増加、データの種類や目的を考慮し、最適な保管方法を選択することが重要です。
情報ライフサイクル戦略を策定する
企業が保管しているデータは、どれも均一の価値を持っているわけではありません。例えば直近で生成されたデータは頻繁に利用されるのに対して、数年前のデータはほとんど利用がないというのが一般的です。情報には、生成から活用、保管、廃棄というライフサイクルの概念があります。まずはライフサイクルの段階ごとに適切な管理方法を定め、続いて実際のデータについて利用頻度や目的、重要度を評価し、ライフサイクルのどの段階にあるかあてはめて、管理を行っていくべきでしょう。例えば利用頻度の高い新しいデータは、信頼性やパフォーマンスに優れたストレージに保存し、重要かつ長期保存が必要なデータを安全かつ安価に保存したい場合にはデジタルアーカイブサービスを利用するといった情報ライフサイクル戦略を策定すると良いでしょう。
データ消失のリスクを考慮する
データ管理には常に消失のリスクが付きものです。大切な情報資源を保護するためにも、リスクの少ない管理方法を選択する必要があります。オンプレミス環境の自社データセンターを活用する場合には、自らディザスタリカバリやセキュリティの対策を講じる必要があります。また、メディアで保存する場合、保存メディアの劣化やメディアを読むための機器の入手が将来的に困難になることも考慮すべきです。クラウドサービスを活用する場合にはデータ保全の信頼性やセキュリティのレベルなどを考慮する必要があるでしょう。
定期的なデータマイグレーション
データが利用可能な状態をより長く維持することを目的として、記録データを現状のフォーマットから別のフォーマットに移行することをマイグレーションと言います。データを長期間保存すると想定した場合、大切なことは10年後20年後も適切にデータを利用することができるのかを考慮することです。
例えばデジタルデータの場合、現在使用している読み取り用の機器やソフトウェアが数十年後も使用できるかどうかは未知数です。
数年から数十年で機器は生産終了や保守切れ、ソフトウェアはバージョンアップを迎えて、旧機器、旧バージョンのソフトが必要なデータが使えなくなることは珍しくありません。従って定期的にデータマイグレーションを行い、長期的にデータを利用可能な状態にする必要があるのです。
長期にデータを保存する手法
長期的にデータを保存する方法としてはオンプレミス環境のストレージへの保存、CD/DVD/BDやDVD-RAMなどのディスクへの保存、磁気テープによる保存、そしてクラウドサービスを利用しての保存方法が一般的です。
その中でも近年、特に磁気テープの再評価が進み、需要も伸びております。なぜ磁気テープの需要が伸びているのか?その理由を他の保存方法と比較しつつ明らかにしていきます。
ディスク、磁気テープ、クラウドとの比較
まずは各保存方法の比較表をご覧ください。
ディスク、磁気テープ、クラウドでのデータ保存に関する比較表
ディスク |
磁気テープ |
クラウドサービス |
|
---|---|---|---|
長期保存のコスト |
データ容量が増えるとコストが増加 |
データ容量が増えるとコストは増えるが、データ容量あたりコストは安価 |
運用の手間は省けるが、データ容量が増えるとコストが増加 |
保存できる期間 |
湿気や高温に弱く、長期保存には不向き |
製品によっては30年以上の保存も可能であり、定期的にコンバートすることで更に長期的な保存ができる |
利用サービスが提供され続ける限り保存可能 |
データ参照の速度 |
手元にあるのですぐに参照できる |
リストアが必要なので時間がかかる |
検索機能があればすぐに参照できる |
災害対策 セキュリティ |
高レベルの対策を行うにはそれだけのコストを要する |
災害に備えた副テープの遠隔地二重保管も容易で、オフライン保管すればネットワーク経由の攻撃も受けない |
サービス提供事業者の運用に依存し、サイバー攻撃のリスクもある |
上記のように、
特に長期保存が必要なデータに関してはデータ参照速度を問わないケースもあり全体的に磁気テープで保存するメリットが多い特長があります。
このような背景から、企業における磁気テープ利用の需要が増え、適切なデータ管理方法の一つとして注目が高まっているのです。
まとめ:デジタルアーカイブで大容量データを適切に管理
ワンビシが提供するデジタルアーカイブサービスでは、データを磁気テープに記録し、高いレベルの災害対策とセキュリティを備えたワンビシのデータセンターで保管します。大容量データの保存ではクラウドサービスよりも低コストです。また、高速伝送ツールを用いてオンラインでデータをアップロード、ダウンロードすることができ、アップロードしたデータを検索することも可能です。低コストだけでなく、安全性や利便性も備えたサービスとなっています。
この機会に長期データ保管の選択肢としてワンビシのデジタルアーカイブサービスをご検討ください。