労働派遣契約書の電子化が解禁。労働者派遣法の基本と改正ポイントを解説します


目次[非表示]

  1. 1.労働者派遣法とは
    1. 1.1.そもそも人材派遣とは
    2. 1.2.派遣社員として働くメリット・デメリット
    3. 1.3.労働者派遣法とは
  2. 2.労働者派遣法の変遷
  3. 3.2021年の改正
    1. 3.1.1. 派遣契約書の電磁的記録を認める
    2. 3.2.2.派遣労働者の雇入れ時の説明の義務付け
    3. 3.3.3.派遣先における、派遣労働者からの苦情の処理
    4. 3.4.4.日雇派遣について
  4. 4.派遣契約書の電磁的記録を認められることになった理由
    1. 4.1.労働者派遣契約とは
    2. 4.2.なぜ書面契約に義務付けされていたのか
    3. 4.3.派遣契約書の電子化が解禁された背景
  5. 5.派遣契約書の電磁的記録を行うメリットとデメリット
  6. 6.派遣契約書の電子化に役立つ機能を兼ね備えた「WAN-Sign」
    1. 6.1.多彩な機能が標準機能搭載


働き方改革関連法案によるいわゆる「同一労働同一賃金」の規定が2020年より施行され、労働者派遣法の注目度が高まっています。
一連の改正では、均衡・均等待遇及び説明義務の各規定によって正規・非正規の格差是正が強く打ち出され、不合理な待遇等が禁止されました。

さらに、2021年には労働派遣契約書の電子化(電子契約)が解禁となり、ニュースでも取り上げられるなどしています。
人材派遣業に携わるなら把握が必要な法律ですが、働く環境の変化に合わせて改正が繰り返されており、全体像がつかみにくいという方も多いのではないでしょうか。本記事では労働者派遣法のポイントを解説していきます。


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労働者派遣法とは


そもそも人材派遣とは

労働者派遣法を詳しく知る前に、まず人材派遣についておさらいしましょう。人材派遣とは、雇用元(以下・派遣元)と勤務先(派遣先)が異なる働き方を言います。給与は派遣元が支払いますが、実際に仕事を行うのは派遣先で、仕事の指示も派遣先から受けます。

派遣社員として働くには通常、派遣元となる派遣会社に登録し、仕事の紹介を受けます。派遣会社と派遣社員との間で雇用関係が成立するのは派遣先が決まってからで、登録しただけでは雇用関係は成立しません。



派遣社員として働くメリット・デメリット

派遣社員として働くメリットは「自由度が高い」「多様な経験を積める」「仕事を選べる」などがあります。一方、デメリットは「派遣期間に上限がある(雇用が安定しない)」「責任のある仕事に携わりづらい」「収入が低くなりがち」などが挙げられるでしょう。



労働者派遣法とは

労働者派遣法の正式名称は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」です。目的として、労働者派遣事業の適切な運営、労働者の保護、雇用の安定などを掲げています。雇用などが不安定な派遣社員の権利を守ることが大きな役割で、就業条件や賃金、福利厚生などの規定が定められています。

冒頭でお伝えした通り、労働者派遣法は度々改正され、近年は労働者の権利を守る側面が色濃く出ています。具体的には「同一労働同一賃金」や「待遇に差異が生じる場合の説明義務」などです。このほか、派遣期間の上限、派遣事業主の情報公開などの規定が記載されています。


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労働者派遣法の変遷

労働者派遣法の基本を押さえるために、いままでの歴史を振り返ります。



労働者派遣法は1986年に施行されました。当初は労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の就業条件整備等を図り、雇用の安定、福祉の増進に資することが目的でした。

対象業種は専門的知識などを要する13業種に限られていましたが、1999年に対象業務は原則自由化となりました。

その後も、派遣受入期間制限の延長や派遣対象業務の拡大などがありましたが、特に注目されたのは「製造業務派遣の解禁」です。2006年には医療業界の一部でも派遣が解禁となり、これらの改正をきっかけに派遣労働の幅が広がり、派遣市場の進展につながりました。

2012年には、「労働力の需給の適正な調整を図ること」を目的に改正され、派遣労働者の保護、雇用の安定、待遇改善といった「派遣労働者の保護のための法律」であることが明示されました。

その後2015年には、雇用安定やキャリアアップ措置などが義務化。派遣社員に有益な内容が盛り込まれる改正が行われ、労働者派遣事業は完全許可制となりました。

2020年、「同一労働同一賃金」「派遣社員の賃金決定方法の厳格化」の実現のために改正が行われます。これにより、派遣元企業には「職務内容が同じであれば(同一労働)、雇用形態に関係なく同じ金額の賃金(同一賃金)を支払う」義務が発生します。賃金の決定は、「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」によります。

このような流れを経て、現在の労働者派遣法は時代の流れとともに変化してきました。


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2021年の改正


それでは2021年の改正ポイントを解説していきましょう。本改正では大きく次の4つが変わります。

  1. 派遣契約書の電磁的記録を認める
  2. 派遣労働者の雇入れ時の説明の義務付け
  3. 派遣先における、派遣労働者からの苦情の処理について
  4. 日雇派遣について

それぞれポイントを整理します。


1. 派遣契約書の電磁的記録を認める

【改正前】
派遣社員への労働条件・就業条件明示は既に電子メールやSNSによる送信が行われていましたが、企業間の派遣契約書のやり取りは紙で行うことが義務付けられていました。

【改正後】
派遣元企業と派遣先企業との間で締結される労働者派遣(個別)契約についても、電磁記録で作成することが認められます。


2.派遣労働者の雇入れ時の説明の義務付け

【改正前】
派遣元の教育訓練の実施体制は整備が進む一方で、派遣社員に対する「雇入れ時教育訓練計画の説明」や「キャリアコンサルティング」の実施水準は低い状況のままでした。

【改正後】
派遣社員に対し雇入れ時に教育訓練計画を説明することが義務付けられます。また、後に教育訓練計画に変更があった場合も、説明が義務付けられています。


3.派遣先における、派遣労働者からの苦情の処理

【改正前】
派遣社員からの苦情について、派遣元が相談先として大半を対応していました。しかし、派遣先に苦情処理を行うよう明確な指示を出すことができませんでした。

【改正後】
派遣社員から、労働関係法上(労働基準法・労働安全衛生法・育児休業・介護休業等)に関する苦情があった場合、派遣先企業も主体的に対応することが義務づけられます。


4.日雇派遣について

【改正前】
労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって契約が解除されても、特別な措置を講じる必要がありませんでした。

【改正後】
派遣社員の責に帰すべき事由がない解除の場合は、雇用機会の確保のため、派遣元が休業手当などの支払いを対応することが必要となります。


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派遣契約書の電磁的記録を認められることになった理由

今回の改正の大きなポイントは今まで書面契約が義務付けられていた労働者派遣契約の電子締結が認められたことです。このポイントについて解説していきます。


労働者派遣契約とは

2021年の改正で注目したいのは、業務に大きな影響を与える「派遣契約書の電磁的記録を認める」です。労働者派遣契約とは、派遣元企業と派遣先企業との間で締結される契約を指します。

この契約は書面にすることが義務付けられていますが、雇用期間は最大で3年と定められており、派遣期間制限の範囲で更新が繰り返されます。また、一部でも変更や不備があった場合、書類の修正が必要で、煩雑な事務作業が生じていました。


なぜ書面契約に義務付けされていたのか

なぜ企業間のやり取りだけが書面に限定されていたのでしょうか。根拠は、労働者派遣法26条と労働者派遣法施行規則21条3項です。もっとも、実は契約の作成に関しては義務がなく、印刷できる状態であれば電子化(電子契約)を認めるという自治体もあります。一方で厚生労働省はこの措置を認めておらず、混乱をきたすこともありました。


派遣契約書の電子化が解禁された背景

新型コロナウイルス感染拡大の対策として、2020年は各企業で急速にテレワークが導入されたのはご存知の通りでしょう。テレワークの一つの課題として挙げられたのが、日本特有の商習慣「押印文化」です。押印のためだけに出社するケースも少なからずありました。

これを受け、政府は「押印は必ずしも必要としない」との見解を示して契約書の電子化が進み、派遣契約書も2021年から電子化が解禁される運びとなったのです。



派遣契約書の電磁的記録を行うメリットとデメリット

派遣契約書を電子化するメリットは複数あります。具体的には、印刷費・郵送費などのコスト削減、契約書のやり取りに伴う工程の削減・効率化、契約書類の保管・管理の簡便化などが挙げられるでしょう。一方で、派遣会社には電子契約サービスの導入が必要になります。電子化にはセキュリティや法令、デジタルに関する一定の知識が欠かせません。


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派遣契約書の電子化に役立つ機能を兼ね備えた「WAN-Sign」

そこで紹介したいのが、ワンビシアーカイブズの提供する「WAN-Sign」です。「WAN-Sign」は派遣契約書の電子化に役立つ機能がそろっており、業務効率化に大きく貢献します。

また、今まで締結してきた書面契約から電子契約に切り替えても即時効率化できるわけではありません。これまで締結してきた書面契約は今まで通りに管理し、新たに締結した電子契約はシステムで管理するという二度手間が発生します。

しかし、「WAN-Sign」なら今までの書面契約をシステム内に登録し、契約書データを一元管理することが可能なのです。


多彩な機能が標準機能搭載

「WAN-Sign」は様々な利用シーンを想定し、多彩な機能を標準搭載しています。例えば、派遣契約を行う際には署名位置、個人毎の可変項目位置を事前登録することが可能な「テンプレート文書登録機能」、登録したテンプレート文書に該当事業者、派遣社員の氏名、住所、時給、業務の内容などの項目の一括差し込みが可能な「差し込み一括送信機能」などが備わっています。
さらに、契約書以外にも社内外文書の様々な押印業務を代替できるよう、充実した機能が用意されています。

しかし、いくら便利な機能があっても、使いこなせなくては意味がありません。ワンビシアーカイブズは書類管理ノウハウを持った担当スタッフが導入から利用方法まで全てをサポート。WAN-Signの使い方から効率的な契約管理まで、お客様の電子契約システム活用をお助けいたします。

また、派遣先や派遣社員に説明する際のマニュアルも完備しています。多くの利用者から高い評価を受けるWAN-Signの詳細・資料は以下よりダウンロードください。


>>電子契約とは?4つのメリットを解説

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