事業継続計画(BCP)の策定と書類の遠隔地保管

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2011年の東日本大震災以降、企業の事業継続計画(BCP)の重要性が高まっています。そして多くの企業が事業継続のため非常時マニュアル作成などに取り組んでいます。

平成27年に内閣府が国内企業に対して行った、事業継続及び防災の取組に関する実態調査によると、「BCP策定済み」と回答している中小企業は29.9%であったのに対し、大企業では60.4%という結果となりました。大企業の方がより早くBCPへの取り組みを進めていることがわかります。また、「BCP策定済み」に加えて「策定中」・「策定予定」の回答を含めると、中小企業でも70%を超えることから、多くの日本企業がBCPを意識していると考えられます。

出典:内閣府「平成 27 年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」(http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/h27_bcp_report.pdf)をもとに作成

そこで今回は、BCPの基本を整理しながら、書類の遠隔地保管の必要性について紹介いたします。

事業継続計画(BCP)とは?

中小企業庁のホームページでは、BCPの定義について以下のように紹介しています。

「BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです」

出典:中小企業庁ウェブサイト「BCP(事業継続計画)とは」(http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html

要約すると自然災害など様々な事業停止リスクを想定し、非常時マニュアル作成やデータ退避などを行うことで、緊急時にも迅速な事業復旧及び継続を行えるようにすることがBCPだと言えます。

事業が停止に追い込まれるような緊急事態の発生は予測不能です。そのためBCPは緊急時に企業が生き残るための基本的な対策であり、非常に重要な経営課題でもあるのです。

事業継続のためにはデータを保護することが重要

BCP策定の上で重要な事項はいくつもありますが、中でも重要なのはデータ(情報資産)を保護することでしょう。

企業経営には常にデータの利用が伴います。顧客情報や取引データ、原価管理データなど、その全てが事業継続のために欠かせないものです。

万が一自然災害などでこれらのデータが消失した場合には、事業復旧・継続が非常に困難になるだけでなく、顧客からの信用失墜にもつながります。

BCPにおいてデータの保護は非常に重要な事項なのです。

データ消失事例:クラウドサービスはデータの退避先にはならない?

BCPのため、データの退避先としてクラウドサービスを選ぶ企業もあるでしょう。しかしクラウドサービスの場合、自然災害だけではなくシステム障害でもデータを消失するリスクがあります。

2012年に発生した国内レンタルサーバ大手でのデータ消失は甚大な被害を及ぼしました。データが消失した企業の数は5,698社にも上り、そのほとんどがデータ復旧不可能という深刻な事態に陥りました。Webサイトやメール、顧客情報などの消失による損害は計り知れないものでした。

BCPの一環としてクラウドサービスの利用は選択肢となりますが、先の事例のようにシステム障害によるデータ消失のリスクがあります。また、データセンターの立地や環境によっては自然災害によるデータ消失リスクも十分に減らせないことがあります。クラウドサービスにデータを保管しているから安全というわけではありません。

では、データをどのように保管するのが適切なのでしょうか?その答えの一つが「データを遠隔地保管する」ことです。

データの遠隔地保管とは?

企業が多く集まる大都市を直撃する大災害が発生しても、データが都市部から離れた立地の施設で保管されていれば、同時被災する可能性を大きく下げることができます。データ保管施設が防災機能を備えていたり強い地盤の上にあれば、データの被災を防ぐ効果は更に高まります。このような対策をデータの遠隔地保管と呼びます。データの遠隔地保管は、BCP策定の上で検討すべきデータ保護方法の一つと言えるでしょう。

遠隔地保管に最適な記録媒体とは?

データを記録するための媒体には様々なものがあります。

HDDやSSD、光ディスク、フラッシュメモリ、そして磁気テープなどです。それら記録媒体の中で、遠隔地保管に最適な記録媒体とは何でしょうか?

まずHDDやSSDは大容量データを高速に読み書きできる優れた記録媒体ですが、大量のデータを保管するためにはコストが多くかかります。光ディスクは技術革新もされ、寿命も30年以上と長くなっていますが、衝撃に弱く歪みなどが発生した場合データの読み取りが不可能となる可能性があります。フラッシュメモリは長期保存には不安を抱えるため重要データの長期保管には向いていません。

磁気テープはHDDやSSDよりも記録容量が大きく省スペースで保管することができます。また、低コストで大量のデータを保管することができるので、遠隔地保管に最適な記録媒体だと言えます。

もちろん、企業の環境によって最適な媒体は異なりますが、磁気テープは有力な候補と言えるでしょう。

まとめ

自然災害の多い日本の企業は、BCP策定が必要不可欠です。そしてBCP策定には、さまざまなリスクを想定しなければなりません。有事に備えるため、デジタルデータ保護についてぜひご検討ください。

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株式会社NXワンビシアーカイブズ 

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