
※こちらは2019年12月に公開したブログを2023年5月に再編集したものです。
新型感染症の流行により社員全員が赴任地に赴き労働するという概念に変化が起き、他者と対面でコミュニケーションすることなく、自宅で働くリモートワークが多くの企業から受け入れられました。リモートワークはかねてから取り沙汰されていた「一億総活躍社会」を後押しする方法の一つでもあり、2019年4月に施行された働き方改革が今改めて意識されるきっかけともなっています。
今回は、改めて働き方改革の目的とその施行までの流れを解説していきたいと思います。働き方改革について詳しく知りたいという方や、促進したいとお考えの方はぜひご覧ください。
働き方改革とは“働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」できるようにするための改革”です。(厚生労働省:働き方改革 特設サイトより)
日本では現在少子高齢化に伴う労働人口の減少が危惧されています。その課題に対して企業としては投資やイノベーションによる生産性の向上を目指すことももちろん大切ですが、働く側の立場を考え、個人の事情に合わせた多様な働き方を選択できる社会を作り、労働者一人ひとりがよりよい将来展望を持てるようにすることが必要と考えられています。
働き方改革とは、ずばり「働く人の満足度・幸福度を上げること」と言えるでしょう。
働き方改革の始まりは「一億総活躍社会」の実現から生まれた概念です。2015年10月に発足した第3次安倍晋三改造内閣のスローガンである、若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を経験した人も、みんなが包摂され活躍できる社会「一億総活躍社会」を目指す働きから生まれました。
この一億総活躍社会の実現のため、2016年8月3日、第3次安倍第2次改造内閣の発足とともに働き方改革担当大臣を設置。その1か月後に「働き方改革実現会議」が設置されました。全10回に渡ってこの働き方改革実現会議は行われ、2017年3月28日に「働き方改革実行計画」が決定しました。
日本の労働環境は「賃金などの処遇」「時間・ 場所などの働く環境の制約」「キャリア構築」の3つの課題があると考えられています。この課題感に対し、働き方改革実行計画ではそれぞれ9分野に分け、具体的な方向性と対応策を示しました。
働き方改革実行会議:働き方改革実行計画(概要)より
この計画に基づき、法整備の必要性が説かれ、2018年6月には「働き方改革法案」が成立、2019年4月から「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」が順次施行されました。
上述の通り、働き方改革を推進するためには以前より存在していた労働関連の法律の改正が必要であると捉えられ、働き方改革関連法は主に「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」のための措置としてそれぞれ下記のような改定が講じられました。
労働基準法の改正:長時間労働の是正、年次有給休暇の付与、フレックスタイム制度の導入、扶養控除の見直しなどの改正
労働安全衛生法の改正:過重労働の是正、労働環境の改善、リモートワークの規制などの改正
働き方改革推進法の制定:働き方改革を推進するための具体的な施策や取り組みを定め、効果や実施状況を評価し、改善策を検討する
この改定によって労働者の労働時間や休日などの労務管理や、健康管理についての取り組みが強化されています。また派遣社員や育休介護休などの様々な雇用形態の労働者についても保護され、働き方の多様性を確保する目的の改正も行われました。
詳細は厚生労働省の働き方改革政策一覧をご覧ください。
皆さんは「三方よし」(さんぽうよし)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「三方」とは、「売り手」(売る人)、「買い手」(買う人)、「世間」(社会)の3者を指します。「三方よし」とは「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の3つの「よし」が成り立つ状態、つまり売り手と買い手がともに満足し、さらにはその商売(ビジネス)が社会の役に立つことが「よい商売」であるという、近江商人の心得です。
この「三方よし」という商業(ビジネス)観を生み出したのが、伊藤忠商事の創業者である初代伊藤忠兵衛と言われています。
『商売は菩薩の行(業)、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの』(初代伊藤忠兵衛)
この「三方よし」という精神は、現代では企業と社会を持続的に発展させていくための方策、つまり「サステナビリティ」の礎として評価されています。
働き方改革は言い換えると、「会社と社員のWin-Winの関係」と言えます。
また、「三方よし」を言い換えると、「売り手と買い手のWin-Winの関係」ということになります。
かつて日本の企業は一貫して「顧客満足度」を追求してきました。これは「三方よし」の精神に基づくものと言えます。
一方、現代の日本においては、社員の満足度・幸福度が問われるようになりました。これは、働き方改革によって新たに加わった要素です。
そしてどちらも、「会社と社員」、「売り手と買い手」、この双方の満足が成立することによって、より良い社会の実現を目指すという点で共通性があるといえるのではないでしょうか。
![]() 【売り手―買い手―世間(社会)】 |
![]() 【企業―社員―社会】 |
働き方改革は働く人の満足度・幸福度を上げることになりますが、この考えは昔から存在している考え方です。現代の日本企業が抱える課題についても、企業と従業員がwin-winである関係を構築することで解決できることがあると思います。
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執筆者名 ブログ担当者
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