文書が濡れちゃった・・・その時どうする?

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「文書が水に濡れてしまったのですが、どうしたらいいでしょう・・・?」

 お客様よりこんなお問い合わせを受けることが、年に何回かあります。もしそんなことが起ったら、「こっそりなんとかしたい・・・」というのが本音ではないでしょうか。

 そんな時にどうしたらよいのか、今回は専門家の視点から「こっそり」お教えしたいと思います。

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1.文書が水濡れする原因

文書の水濡れが発生する主な原因として、以下の5つが挙げられます。

  • 洪水、津波などの災害
  • 天井などからの雨漏り
  • 配管やスプリンクラーの誤作動などによる漏水
  • 室内と室外の温度差から発生する結露
  • 人が誤って水をこぼす

ひとつめは、天災ですからイメージしやすいですよね。2011年3月の東日本大震災では、多くの文書やデータが失われてしまったことは、皆さんも記憶に新しいでしょう。その後も、各地で地震や豪雨・洪水による文書の被害がニュースになっています。このような大規模災害の際には、官民を問わず復旧チームを組んで事にあたらなくてはなりません。

 一方、2つめ以下はいわゆる「人災」です。雨漏りや漏水はどこの企業でも起こり得えることですが、よほどのことがない限り表沙汰になることはないでしょう。それでは次に、文書が水に濡れてしまった場合の対応策をご紹介します。

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2.文書が濡れてしまった際の対応

 文書が水に濡れてしまったら、「とにかく乾かす」しかありません。

 紙が濡れてしまった場合、48時間以内の対応が必要とされます。水に濡れた文書は、すぐにカビが生え始めるからです。しかし、バインダーなどで綴じられた文書はそのまま放っておいても乾燥せず、カビが生えるばかりです。

 濡れてしまった文書は風通しの良いところへ広げて、乾かす必要があります。濡れ方の程度にもよりますが、べったりと濡れてしまった文書を無理に開こうとすると、紙が破れてしまうおそれもありますので、注意が必要です。スペースさえ確保できれば、そこに文書を広げて、空調や扇風機を回しておくだけで、大量の文書を乾燥させることができます。注意深く開いたり、扇風機をあてたりと、文書に風を通しながら、徐々に自然乾燥させていきます。ファイルに綴じられた文書は、少し開いた状態で立てておくだけで、開いた頁の部分から少しずつ乾いていきます。

 大量の文書が水に濡れてしまった場合、自然乾燥させるためには、広いスペースが必要となりますし、人海戦術で、少しずつ頁をめくりながら風を通していくしかありません。もしこれを自力で、もしくは外注しようとすれば、途方もないコストがかかることになります。また、文書に個人情報や機密情報が含まれている場合、さらに慎重な取扱いが必要となります。

 そこで「トリアージ」つまり、必要なものの優先順位をつけることがとても重要なポイントとなります。大量の文書が水濡れした場合、内容の重要度、媒体劣化の状況に応じた優先順位をつけて処置をしなければ、救えるものも救えなくなってしまいます。何をどこまでやるのかを判断し、程度に応じた処置方法をとることが重要となります。

 もし単に情報として「読めればよい」レベルの文書であれば、写真やコピーを取って、原本は捨ててしまっても良いわけです。一方、「原本」として保存しておく必要がある重要な文書であれば、とにかく濡れた紙を乾かすしかありません。

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3.必要な物品

濡れてしまった文書を乾かすのに便利な道具をご紹介します。

・ビニールシート

他への浸水、汚損の影響を防ぐために床に敷きます。その上に、文書を並べます。

・新聞紙、キッチンペーパー、段ボール

吸水のために使います。下に敷いたり、頁の間に挟んだりします。新聞紙はインクが染みてしまいますので、紙に直接当てるのは避けましょう。水を吸ったらどんどん交換するので、大量に必要です。

・扇風機

できれば業務用のものは風力が強くて望ましいです。室内で扇風機を回すだけで、乾燥を促進します。

・エタノール

もし文書にカビが発生した場合、もしくはカビの発生を抑えたい場合に使用します。文書に直接噴霧しても、紙を浸してもカビの発生をある程度抑えることができます。空調で温湿度の調整が可能であれば、カビを抑えるのに有効です。

・刷毛(はけ)

もし雨水などの泥水に文書が浸かってしまった場合、乾いた後に紙に泥が残ってしまいます。乾燥後、刷毛で泥やホコリをクリニーングすれば、後の利用も可能になります。

・重し

「漬物石」など何でもよいのですが、水を吸った紙は乾燥後、膨らんでしまうので、それを抑えるために使います。

 また作業時にはマスクやゴーグル、作業着を着用するなど、作業者の安全衛生面への配慮も欠かせません。

 大切なのは文書の重要性に応じた手当をすることです。そうでないと、無駄な作業が発生してしまうことになります。

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4.文書の水濡れを防ぐには

最後に、文書の水濡れを防ぐための対策についてご紹介したいと思います。

 まず、立地です。当然ながら、書庫や倉庫が浸水被害を受けるような地域に立地していては災害による浸水を防ぐことはできません。ハザードマップなどで立地を確認することはもちろんですが、書庫を建物の2階以上に配置するなど、被害を防ぐ措置が必要です。よくあるケースですが、地下にある書庫は特に危険ですし、保管環境もよくありません。

 天井からの雨漏り、配管やスプリンクラーの誤作動などによる漏水は、設備的な問題です。空調ダクトや配管の直下、壁際に書棚を置くことは避けなければなりません。当然のことですが、定期的な設備点検は欠かせません。

 万一雨漏りや漏水が発生してしまった場合でも、棚の最上段に文書を置いていなければ水濡れ被害は最小限にとどめることができます。これは、配架(文書の置き方)の工夫によって対応が可能です。また、文書を保存箱に入れておくことは、水や汚染物質から文書を保護する観点からも有効です。

 最後に書庫内に水気のあるものを持ち込まない、お茶やコーヒーを飲みながら文書を取り扱わないなど、業務手順を徹底しましょう。

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5.まとめ

 いかがでしょうか。文書の水濡れは、どこでも起こり得ることと考えておくべきです。この問題に限らず、リスクを想定して対策をとるということが大切です。

 もし皆さんの会社が被災したとき、どうしたらよいかを知っているか/知らないか、経験したことがあるか/ないか が、その後を大きく左右します。その時に備えて、すぐ対応できるように意識をもっておけば、重要な情報資産を失うことなく、他に先んじて業務を継続することができるでしょう。

 「文書が濡れてしまったけれど、こっそりなんとかしたい」と思われるでしょうが、そんな際には「こっそり」外部の専門家にご相談ください。また、文書の浸水被害を防ぐという根本的な対策の観点からは、立地や設備、保管環境の整った外部の書類保管サービスを利用することも、選択肢のひとつとしてご検討してみてはいかがでしょう。

執筆者名プロフィール

執筆者名 ブログ担当者

株式会社NXワンビシアーカイブズ 

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