BCPの事例 大震災時の事業継続とシステム復旧

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 事業継続計画(BCP)は特に2011年に発生した東日本大震災を契機として、多くの企業・団体に浸透しました。BCPという言葉・概念が登場したのはもう少し前、2000年代に入ってからとされています(諸説あり)。しかしそれよりも更に前のこと、1995年に阪神・淡路大震災が発生したとき、遠隔地のデータセンターに設置したバックアップ用のシステムに切り替えられる体制を構築していたことで、社屋が被災して甚大な被害が生じながらも早期のシステム復旧を実現した事例があります。

 今回は災害対策に有効なデータ保護・バックアップ体制を検討されている方のために、阪神・淡路大震災で被災しながらもシステム復旧・事業継続に成功した企業(A社とします)の事例を紹介します。

 

バックアップの体制

 まずはA社が構築していたバックアップ体制概要を紹介します。

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A社システムとバックアップ体制概要図

 A社はバックアップテープを日次で正副2本作成し、1本は神戸市の本社ビル内に、もう1本は本社ビルのすぐ近くにある別館内に保管していました。そして基幹システムホストコンピュータのダウンに備え、関東にあるワンビシアーカイブズのデータセンター内バックアップコンピュータを、災害時に利用する契約をワンビシアーカイブズと結んでいました。

 有事にはバックアップテープをワンビシアーカイブズのデータセンターに搬送するとともに、A社の工場や支店の回線をバックアップ回線に切り替えてバックアップ用ホストコンピュータと接続し、迅速な基幹システム復旧・事業継続につなげられる体制を構築していました。

事業継続計画発動 震災後のA社被災状況と対応

 阪神淡路大震災は1995年1月17日午前5時46分に発生しました。神戸と洲本で震度6を観測したほか、気象庁による現地調査で神戸市と淡路島の一部地域では、震度7に相当する揺れが発生していたことが判明しました。多数の人的被害、建造物の全半壊など甚大な被害が発生しました。
気象庁ホームページ 「阪神・淡路大震災から20年」特設サイトから引用
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/1995_01_17_hyogonanbu/index.html

 震災によって神戸市にあるA社の本社ビルと別館は、それぞれの建物の1階部分と3階部分が押しつぶされ倒壊状態となりました。基幹システムのホストコンピュータもダウンしたため、同日中にA社からワンビシアーカイブズへの連絡が行われ、ワンビシアーカイブズ側でデータセンター内バックアップコンピュータをスタンバイ状態に移行しました。

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震災当日の被災状況と対応

システム復旧を震災発生6日後に実現

 震災で甚大な被害が生じながらも進められていたA社のシステム復旧ですが、1つの誤算がありました。データセンターのバックアップ用ホストコンピュータの準備はできましたが、バックアップデータを記録したテープがA社ビルの倒壊によって、簡単には搬出できない状況となりました。結局、A社ビルからバックアップテープを搬出できたのは震災発生翌日の夕方、バックアップテープがワンビシアーカイブズのデータセンターに到着したのは震災発生の2日後となりました。

 震災発生の3日後にはバックアップ用ホストコンピュータで立ち上げたシステムを、バックアップテープを作成した時点の状態に戻すことができました。しかしその間、A社の支店では基幹システムを用いず手作業で業務が行われていたため、システムを最新状態にするには同期間中に行われた処理を2日かけてインプットする必要がありました。結果、システムの完全復旧は震災発生から6日後の朝になりました。

 バックアップ体制が整備されていたことで、震災の被害の甚大さを考慮すれば早期のシステム復旧に成功したといえます。しかしA社ビルの倒壊によりバックアップテープの搬送が遅れたことで、システム復旧に想定外の日数を要したことは、A社のバックアップ体制における課題となりました。

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A社システム復旧概要

遠隔地バックアップが課題解決のカギ

 A社のバックアップ体制における改善点として第一に挙げられるのは、バックアップテープの保管場所です。バックアップテープがA社ビル内に保管されていたため、震災で被災したビルから搬出できなくなり復旧スケジュール全体に影響を及ぼしました。仮にバックアップテープもワンビシのデータセンターに保管されていれば、震災の翌日にはシステムを完全復旧できたと考えられます。

 現在では遠隔地でのバックアップデータ保管は、「3-2-1ルール」という原則にもあるように災害対策としてのデータ保護のスタンダードになっています。

まとめ

 今回は阪神・淡路大震災で被災した企業のシステム復旧事例を紹介しました。事例からもわかるように、遠隔地のデータセンターを用いてバックアップ体制を構築することは、有事における迅速な復旧と事業継続に大きく役立ちます。

 今回紹介した事例でA社のシステム復旧を支援したワンビシアーカイブズは、オフラインメディア保管サービスオンラインバックアップサービス、ハウジングサービスなどのラインナップで有事におけるお客様の事業継続を支援しています。サービスご利用事例も紹介していますので、ご興味があれば是非ご覧ください。

執筆者名プロフィール

執筆者名 ブログ担当者

株式会社NXワンビシアーカイブズ 

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