遠隔地バックアップの必要性を広域災害の想定と被災事例から再確認

  • バックアップ体制
  • リスクマネジメント
  • 災害対策

 2011年に発生した東日本大震災をきっかけとして、多くの企業で災害対策の意識が高まりました。BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)という言葉も一般用語として浸透し、企業・団体の経営課題として認識されるようになっています。そして現代においてシステムやデータなどの情報基盤は、企業の経営基盤の中で重要な位置を占めるようになっています。必然的にシステムやデータの損失を防ぐためのリスクマネジメント施策であるバックアップは、経営課題であるBCPにおいても重要事項に位置づけられることになります。

 しかしシステムやデータのバックアップを取得して保管しておけば、もう大丈夫、とは限りません。東日本大震災では、事業所内の耐火金庫で保管していたバックアップメディアが、津波によって金庫もろとも流されて失われてしまった事例があります。災害によるシステム・データの損失に備えてバックアップを行う場合、実効性を高めるためには遠隔地でのバックアップデータ保管が必要不可欠です。ワンビシも企業・団体の遠隔地バックアップとDR(Disaster Recovery : 災害復旧)を支援する、オンラインバックアップサービスを提供しています。

 内閣府発行の事業継続ガイドラインでも、企業にとっての重要な情報を同じインシデントで同時被災しない遠隔地に保存することを推奨しているように、遠隔地バックアップは事業継続やDRのための有効な施策です(内閣府発行 事業継続ガイドライン第3版 http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/sk_04.html)。

 遠隔地バックアップを支援するサービスやソリューションは様々な事業者から提供されており、PRもされています。しかし、なぜ遠隔地バックアップが必要なのか、については、多くの場合はBCPやDRに有効の一言で済まされているという実情があります。これまでに発生した災害はどのような規模であったか、今後発生が想定されていて備えるべき災害の規模はどの程度か、などについてはほとんど紹介されていません。

 そこで今回は、企業・団体が備えるべき広域災害が、どれほどの範囲に影響を及ぼすことが想定されるのかを、東日本大震災の事例および今後発生が懸念される広域災害の想定規模を元に紹介します。そして、東日本大震災におけるデータやシステムの被災事例を紹介しながら、遠隔地バックアップの必要性について再確認を行います。

災害時のバックアップデータを安全に保管したい方へ

広域災害の影響範囲 東日本大震災の事例

 2011年3月11日14時46分に発生した東日本大震災では、宮城県、福島県、茨城県、栃木県の4県37市町村、南北で約400kmに及ぶ広範囲で震度6強以上を観測しました。青森県から茨城県にかけての広範囲にわたる太平洋沿岸地域には、3m以上、場所によっては10m以上に及ぶ高さの津波が押し寄せ、甚大な被害をもたらしました。

 また、青森県から埼玉県北部、千葉県などの広範囲にわたって震度5強以上の地震が発生し、多くの地域に交通機関の乱れなどの影響が及びました。

9d30f8d59f3369855c0d70ab9f375dd6ef8d078a.jpg東日本大震災震度分布図

【出典】 気象庁ホームページ

東日本大震災震度分布図
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/2011_03_11_tohoku/index.html

平成23年(2011年) 東北地方太平洋沖地震の概要
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/gizyutu/133/ABSTJ.pdf

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広域災害の影響範囲 首都直下型地震の想定

 都区部直下地震は今後30年間に約70%の確率で発生するとされており、首都防災対策の主眼と位置付けられています。東京23区全域と多摩地域、神奈川県東部、埼玉県南部、千葉県西部に及ぶ範囲で、震度6弱以上の地震発生が想定されています。

 木造住宅を中心とする建物の倒壊と火災の多発の他、企業活動に直結する部分だと5割以上の地域での停電発生が想定されています。停電期間は湾岸地域における火力発電所の被災状況にもよりますが、最悪の場合1週間継続するとされているだけでなく、需給バランスが大きく崩れた場合には継続的な計画停電も想定されています。

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都心南部直下地震 震度分布想定

【出典】 内閣府ホームページ 首都直下地震の被害想定 対策のポイント
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/chuobou/jikkoukaigi/03/pdf/1-1.pdf

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広域災害の影響範囲 南海トラフ地震の想定

 駿河湾から宮崎県沖まで広がるプレート境界地形を震源とする大規模な地震が、南海トラフ地震です。発生間隔にはばらつきがあるものの、おおむね100年~150年周期で発生しています。昭和東南海地震および昭和南海地震から70年が経過しており、次の大地震発生が懸念されています。

 南海トラフ地震は震源域や回数に多様性がありますが、最大規模のケースが発生すると、静岡県から宮崎県の広範囲に及ぶ太平洋沿岸地域に、震度6強以上の地震発生および数m~10m以上の高さの津波が押し寄せることが想定されています。

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南海トラフ地震 震度分布想定
(複数想定されるケースの最大値の分布)

【出典】 気象庁ホームページ 南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/assumption.html

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事例から想定されるデータ被災の可能性

 東日本大震災におけるデータ被災事例として第一に挙げられるのは、津波による公文書や住民基本台帳システムの被災ですが、他にもインフラの停止などによってシステムやデータが被災した事例があります。

・水冷式の装置が冷却できなくなり、システム停止の危機が迫った

・停電が続き自家発電機の燃料も尽きて、通信事業者が提供するネットワークサービスが停止した

・建物は倒壊しなかったものの、サーバラックの転倒や機器の転落が発生した

「建物が潰れる可能性は少ないのでオンプレのみでのバックアップでも問題ない」「建物が潰れたらデータが無事でも事業ができないので、備えてもしょうがない」と考えられる方もいらっしゃると存じます。しかし建物が無事でもデータが被災することは現実的にあり得ます。これらの災害から、事業継続に必要なデータを守るために有効な施策が遠隔地バックアップです。企業の事業所所在地とは別の地域にデータを疎開させることによって、事業所とデータの同時被災により業務継続不能状態に陥る可能性を小さくすることができます。

災害時のバックアップデータを安全に保管したい方へ

まとめ

 今回は企業のリスクマネジメント施策である遠隔地バックアップの必要性について、広域災害の想定および事例を再確認しながら紹介しました。これまで述べてきたように、日本の各地域において、甚大な被害をもたらす広域災害の発生が懸念されています。そしてデータは企業活動に必要不可欠な財産です。その財産を守るための有効な手段として、遠隔地バックアップが必要であることを改めて認識いただければと考えております。

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株式会社NXワンビシアーカイブズ 

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