
2011年に東日本大震災が、2016年に熊本地震が発生し、首都直下型地震や南海トラフ地震が今後数十年以内に高い確率で発生すると予測されている今、企業・団体にとって大規模災害は備えるべき重大な脅威となっています。そして、災害時における事業継続・復旧のために守るべき経営資源として、データの重要性が大きく高まっています。
災害対策、事業継続のためのデータ保護には、バックアップを行うことが定石といえます。しかし、データのバックアップを行えば、それで大丈夫とは限りません。備えるべき事態と適切な対応を網羅している原則に則った方法で、バックアップを行うことが必要です。
そこで今回は、災害を含む様々な脅威から経営資源であるデータを守るための基本原則である、「3-2-1ルール」について解説いたします。
バックアップさえすれば、データは確実に守れるのでしょうか?答えはNoです。様々な脅威に対応できるだけの多重の備えがなされていなければ、データ消失の危険を十分に小さくすることはできません。
東日本大震災では、メディアに記録して社内で保管していたバックアップデータが津波で被災してしまった事例があります。また、災害によるものではありませんが、システム障害によって本番系とバックアップ系のデータがまとめて消失してしまった事例もあります。
データを確実に守るためには様々な脅威を想定し、適切な対策を施してバックアップ体制を構築する必要があります。しかし脅威を1つ1つ想定し、同じように対策も1つ1つ立てていては手間がかかる上に、見落としが起きる可能性も高くなります。
このようなとき立ち返るべき原理原則があると、とても役に立ちます。データを守るためのバックアップの基本原則として挙げられるのが、「3-2-1ルール」です。次はこの3-2-1ルールについて紹介します。
3-2-1は、「3つ以上のデータを作成(1つの原本データに対して2つ以上のバックアップデータを作成)して冗長化を行う」「2種類以上のメディアに分断した状態でデータを管理する」「少なくとも1つのデータを遠隔地で保管する」ことを意味しています。
3つ以上のデータを作成する、これは理解しやすいですね。バックアップデータを用意して冗長化を図れば、それだけデータ消失の可能性を低くすることができます。しかしなぜ、データの数が2だと十分ではなく、3が必要なのか。それは後ほど解説いたします。
2種類以上のメディアに分断した状態でデータを管理することは、なぜ必要なのでしょうか。3つのデータを作成して冗長化を図ったとしても、データの保存先が全て同じPCやHDD、ファイルサーバになっていれば、災害での被災だけでなく機器の故障やシステム障害、経年劣化などいずれか単一の原因によって、全てのデータが同時に消失してしまう危険があります。本番系のシステムから分断された別のバックアップメディアや、本番系とは異なるバックアップ専用のストレージでデータを保管することで、データ同時消失の危険を小さくすることが可能となります。
少なくとも1つのデータを遠隔地で保管することは、災害対策に必要です。企業・団体の事業所から離れた場所、別の地域や地方でバックアップデータを保管することにより、事業所とバックアップデータの同時被災を防ぎ、有事における事業継続や迅速な復旧につなげられるようになります。
3-2-1ルールの「3」、なぜ3つ以上のデータ(2つ以上のバックアップデータ)が必要なのでしょうか。それは、データの数を3つにすることで、よりフレキシブルにバックアップの体制が構築できるようになるためです。
3つのデータ(2つのバックアップデータ)を持つということは、例えばバックアップデータのうち1つは遠隔地で保管し、1つはオンサイト・事業所内で保管する、という体制の構築を意味します。まず遠隔地でのデータ保管により、災害への備えができます。そしてオンサイトにもバックアップデータを置くことで、システム障害などでデータ消失が起きた際の復旧を迅速に行いやすくなります。また、2つのバックアップデータのうち1つは迅速な復旧に便利なバックアップストレージで保管し、1つは完全にシステムから分断できて保存性にも優れる磁気テープで保管する、のようなD2D2Tのバックアップ体制はこの考え方を実現したものです。
このように、3つ以上のデータを用意することはバックアップデータ保護体制の構築において、重要な意味を持ちます。
今回はバックアップの基本原則である「3-2-1ルール」について解説いたしました。3-2-1ルールに則り、3つのデータを用意し、2種類以上のメディアで管理し、1つ以上を遠隔地で保管することによって、効率と安全を兼ね備えたバックアップが可能となります。情報資産管理のリーディングカンパニーであるワンビシアーカイブズは、都市部から離れた立地の安全な情報管理センターと、オンラインバックアップやオフラインメディア保管といったサービスラインナップで、お客様のバックアップ体制構築を支援いたします。
執筆者名 ブログ担当者
株式会社NXワンビシアーカイブズ
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