古文書を読む(1) - 江戸時代のブログ(日記) -

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こんにちは。貴重な歴史資料を安全に保管する「歴史資料の永年保存サービスを提供している、NXワンビシアーカイブズです。

本記事では、古文書の中でも、江戸時代にあらゆる階層の人々が書き記した「日記」に焦点をあて、日記という記録がもつ豊富な記載情報の中身や、その機能などについて紹介します。

1.記録を残す

近年、人々が日々の活動記録や自身の心情などを書き記す行為は、紙媒体に止まらずブログやfacebook等、SNSを通じた記録行為、いわゆる文書の電子化に移行しつつあります。
記録媒体の変化や記録文量の差はあるものの、記録を書き残す行為や書くこと自体の衝動は、今も昔も人々の中に変わらずあるものです。

江戸時代あらゆる階層の人々が書き記した「日記」に焦点をあて、日記という記録がもつ豊富な記載情報の中身や、その機能、活用の途について紹介いたします。

2.記録の内容

江戸時代、日記は武士身分の人々をはじめ公家や僧侶・神主、庶民に至るまであらゆる階層の人々の手によって書き残されてきた記録物です。
ひと口に武士身分といっても、藩主や藩の家老など支配上層部が残す日記もあれば、中下級の武士が役職上または家職上(神社の神主など)、後世の関係者に参照させるため残した日記があります。

日記の種類

日記の内容を大きく分類すると、日記作成者のおかれた立場や就任した役職に関する日々の勤務活動を書き記した「公日記」的な記録と、作成者個人の心情や、自身や家族の日々の生活や信仰等を書き残した「私日記」的な記録に分かれます。江戸時代の人々も現代の私たちと同様に内容を書き分けて日記を残していました。

庶民の日記

江戸時代は、武士身分層に限らず庶民層も多くの日記を作成していました。庶民層の中でもとりわけ全国の村々に1人は存在した村役人である名主(なぬし)は、自分の村で起こったあらゆる出来事を業務の傍ら日々書き留め、その一方で自らの家の生活や親類縁者等の日常・非日常の交際について書き綴っていました。庶民の日記には、公的な日記と私的な日記要素を合わせた「公私日記」の形で日記を書き残すこともありました。そのほか、村内や地域間で揉め事が起こり、裁判等で江戸に行く際書き残した「江戸日記」や、旅行や信仰目的で各地を訪れる道すがら書き留めた「道中日記」なども多く残っています。

江戸時代、武士と庶民は身分の隔たりが存在していましたが、それぞれの立場や記録を残す目的に応じて日記を作成していました。

3.記録の解読・解説

江戸時代の日記を現代に生きる私たちが読むためには、当時の文字で書かれてあるくずし字を正しく解読した上で、日記作成者の年齢や出自、就任していた役職や親類縁者や地域社会との繋がりを把握して読み解く必要があります。
日記にある膨大な文字情報を即座に参照するには、同時代の人々も苦労したようで、写真にあるように膨大な記録の上部に簡単な主題(トピック)を数文字で付して、日記に書かれた情報のエッセンスを即座に把握できるよう工夫が施されています。

くずし字を読む

日記にある膨大な文字情報を活用するには、くずし字の解読が必要となります。くずし字の解読については、これまでは歴史研究者を除くと、くずし字の愛好家や郷土史家、図書館司書や歴史系の学芸員などが担っており、残された日記の残存量に比べると解読可能者数がわずかで、中々一般の方が「読める」文字情報として目に触れる機会は限られていました。しかし近年は、コンピューターによるくずし字の解読の精度が上がり、その結果膨大に残る日記資料群の解読が進み、日記の記載情報をデータ化できる時代をむかえています。

さらに今後は、くずし字の解読のみならず、くずし字の現代語訳も生成AI等の技術進化によって可能となり、江戸時代の日記がもつ情報の豊かさと多様さを共有できるようになる時代がやってきます。生成AIが現代語訳を生成し、その上で人間が文脈や背景を捉え読み解くことで、今まで以上に江戸時代の日記の読解と公開が進むものと思われます。

4.記録のデータ化

日記の記載情報には、日々の天候が克明に記されており、加えて頻繁に起きた台風や洪水、大雪、旱魃等の自然災害に関する記述が多くみられます。江戸時代の人々にとっては現代と同様かそれ以上に、気候や天災に関する情報が生活や生命活動に直結する重大な関心事でありました。

日記のデータ

こうした過去の気候変動に関する情報を例えば地域別にデータ化し、地域別・年代別に傾向分析を行うことで、現代に生きる私たちの防災対策に寄与しうるデータに生まれ変わります。
また日記には、村の人びとの健康や生命を維持・把握するため、人々の健康状態や流行病・伝染病等の情報も蓄積されています。日記情報のデータ化は医学業界にも寄与するでしょう。

加えて商人が作成した日記には、当時の米相場の記録や酒、醤油の醸造、薪炭の荷受け記録等の情報も記載が充実しています。一商人の経営情報の記録を集積することで、現代の私たちの経済活動にも寄与します。

5.記録を活かす

ここまで江戸時代の日記の記録者や、その記載情報の豊富さ、活用の可能性についてみてきました。江戸時代の日記は業務上の備忘や、後代への引継ぎのため、また自身の家族や、自分自身のための経営上や生活生産者の教訓として作成されてきました。日記を読み解くと11冊内容が異なり、そのどれにも豊富な情報が収められていることに気づきます。こうした情報の山から現代に生きる私たちが、例えば気候や、病気(病人)、商品相場ごとに抽出しデータ化することで、日記の活用の幅が拡がります。日記記載情報のビックデータ化は、研究面のみならず現代の私たちが知りたい(知っておく)活きた情報に生まれ変わるでしょう。

江戸時代の日記を現代社会の活きた情報にするためには、以下のサービスがきっかけになります。

NXワンビシアーカイブズが提供している「AI-OCR×BPO」サービスでは、複数のAI-OCRエンジンから最適なものを選択し、テキストデータの抽出に加えて、帳票の仕分けから電子化、データ化後の原本保管まで、一連の作業をワンストップで委託可能です。本サービスでは、実際にお客様の文書の読み取り精度とデータ化から納品までの処理方法を確認できる無料トライアルを用意しています。


また、貴重な歴史資料を安全に保管する「歴史資料の永年保存サービスを提供しています。高いセキュリティレベルを誇る情報管理センターにて、文書に最適な環境のもと、歴史資料の永年保存・管理をします。
歴史資料の目次入力や公文書の目録作成も行っていますので、ご相談ください。

他にも、定額制でお客様の事前準備を極力排除し、リーズナブルに利用できる書類電子化サービス「WAN-Scan-そのまんま電子化プラン-を提供しています。標準仕様でファイル名の付与・クリップ外し・製本対応・OCR処理などが含まれており、定額50,000円、75,000円の2種類のプランから選択可能です。書類電子化をご検討のかたはご利用ください。

執筆者名プロフィール

執筆者名 中谷正克

株式会社NXワンビシアーカイブズ 

国立公文書館認証アーキビスト

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