
近年、磁気テープを用いたデータ保管を法人向けのサービスとして提供する事業者が増え、ユーザには様々な特徴のサービスが選択肢として提示されています。
その背景には、ビッグデータ時代の到来により、デジタルデータの保管サービスを提供する事業者の増加が挙げられます。その中には、クラウドのほか、磁気テープを用いるサービスがあります。監査対応で求められるデータや知的財産は、改ざん防止が必要であり、長期にわたり保存するため、クラウドよりも磁気テープを用いる方が望ましいでしょう。
では、企業が磁気テープ保管サービスを選択する上でどのような点に注意すれば良いのでしょうか?今回は検討する際に注意すべき6つのポイントを解説いたします。
テープ保管サービス選定第一のポイントは、サービスの利用目的を明確にし、選定基準を作ることです。一口にデータ保管サービスと言っても、低コスト、セキュリティ、利便性など特徴は様々です。従って、"どのような目的でテープ保管サービスを利用するのか?"を明確にする事が先決です。利用目的に沿ったサービスを選定できれば、テープ保管サービスの導入で失敗する可能性は格段と減ります。
磁気テープを使用した保管サービスの利点は大容量低コストの他に、テープをシステムから離して保管することでサイバー攻撃によるデータ改ざんや漏洩のリスクが少なくなる事と、災害等でのデータ消失を防ぐために複製した別テープ(副テープ)を作成することが容易なことです。
この利点を最大限活かすためには、磁気テープが遠隔地保管されている必要があります。正副の磁気テープが同一あるいは近距離の保管場所にあると、万が一、大規模災害が発生した際は正副どちらのデータも消失してしまう可能性が生じます。しかし正副の磁気テープが遠隔地に分かれて保管されていれば、一方が被災してデータを失ってしまったとしても、もう一方のデータが無事であれば復旧させることができます。
テープの正副作成および遠隔地保管がサービスに備わっているかも選定基準として加えておくと良いでしょう。
データを磁気テープで長期保管する際、主に課題となるのが、10年後や20年後にもテープからデータを読み出せるようにするための、機器やソフトウェアの管理です。何年もテープを使わないうちに、機器は故障しメーカーによる生産もサポートも終了、ソフトウェアは現役バージョンとの互換性を喪失し、テープはあるのにデータが読み出せなくなることは、十分ありえる事態です。
テープを長期保管するためには、上記のような事態を防ぐために、適切なタイミングで新しい型にコンバートすることが必要です。コンバートをユーザ自身で実施するには、手間もコストもかかります。保管サービス提供側がコンバートのための機器等を備え、保管サービスにコンバートを含めているかどうかは、テープ保管サービスの大きな選定ポイントとなります。
テープメディアの寿命についてご参考にしてください。
磁気テープでの保管は、一般的に、監査対応のための資料や頻繁に使用しなくなったけれども保管すべき資料の長期保管に適しています。しかし、こうしたデータは、利用頻度は少なくとも、いざ必要となった際には急いで利用できるようにすることを求められるケースが多々あります。
このためデータ検索/閲覧/ダウンロード機能の有無と性能は、サービスの評価ポイントとなるでしょう。
コスト面では、低コストかどうかだけでなくわかりやすい利用料金プランを提供しているかどうかも重要となります。サービスにもよりますが、テープ保管は月額ベースで料金が発生するのが基本であり、データ量の増加がなければ毎月のコストが一定であるため予算化しやすいという利点もあります。
どのようなテープ保管サービスを利用するにせよ、大容量のデータ管理には多くの時間と手間がかかります。そこで注意すべきが、データ保管以外のオプションを備えてデジタル全体の運用管理を効率化できる否かです。
テープ保管サービスの利用を効率化できるかどうかは、ただ保管するだけでなく、オプションなどでより自社が希望する要件でデータ管理が可能かに大きく左右されます。例えば搬送スケジュールやセキュリティ対策など、サービス提供者側の仕様だけでなく、オプションによって選択できる幅があるとより効率的な運用が可能になります。従って、検討時は基本サービスだけでなくオプションも含めきちんと比較するよう心掛けましょう。
テープ保管サービスの選定は、ポイントを押さえれば難しいものではなく、自社にとって最適なサービスを選ぶことができます。まずは何より利用目的を明確にし、それに沿った選定基準を作るという事が大切です。
世界のデジタルデータ量は加速度的に増加しており、その傾向が止まる事も未だありません。そして企業も同様に日々データ量が増え続けています。
執筆者名 ブログ担当者
株式会社NXワンビシアーカイブズ
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