AI-OCRで手書き文字の読み取りは可能？従来OCRとの違いやメリットを解説

AI-OCRとは？

AI-OCRとは、AI技術を活用したOCR（光学文字認識）システムです。機械学習やディープラーニングの技術により自己学習を繰り返しながら、画像内の文字を読み取り、テキストデータに変換する機能を持ちます。

従来のOCRとの違い

従来のOCRは、あらかじめ登録されたパターンやルールに則り文字を読み取り、テキストデータに変換するという仕組みです。

一方、AI-OCRは膨大な文字データの学習を元に開発されており、ベンダーによるシステム全体のアップデートや、追加学習により文字の読み取り精度が向上していきます。また、単に文字の形を読み取るだけでなく、文章全体の流れや構造を理解することができ、文脈に基づく推測が可能です。

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従来のOCRは手書き文字の認識が困難

手書きの文字は人によって癖があり、書き方や形が大きく異なります。同じ文字でも傾きやゆがみ、線の太さなどの個人差があり、バリエーションがさまざまです。また、手書きのメモなどは、背景にほかの文字や線などが重なっていたり、文字の間隔が一定でなかったりします。

このような理由から、従来のOCR技術は手書き文字の読み取りを苦手としていました。

AI-OCRなら手書き文字も高精度で読み取り可能

AI-OCRなら従来のOCRが苦手な手書き文字も高精度で読み取れます。機械学習のアルゴリズムを活用することで、手書き文字のバリエーションを学習し、多様なパターンが処理できるようになってきました。また、文脈理解が可能なため、対応する文字をより正確に導き出せます。

なぐり書きや筆記体など、通常では認識が困難なテキストも高精度で読み取れるため、AI-OCRシステムの活用シーンは広がりを見せています。

AI-OCRで可能となった読取例

（ＮＸワンビシアーカイブズでAI-OCR処理をした実例）

AI-OCRがもたらす効果

ここからは、AI-OCRがもたらす効果について、さらに深掘りします。

人的リソースやコストを削減できる

OCRシステムにより書類の読み取りが自動化されると、従業員が手動で行ってきたデータ入力作業が不要になります。データを手入力する場合とは異なり、人的ミスも減少するでしょう。

また、AI-OCRは読み取り精度が高いため、目視での確認や修正にかかる時間も削減することが可能です。これにより、従来と比べて作業にかかる手間が少なくなり、人的リソースの確保ができ、コストの削減につながります。

業務スピードがアップする

AI-OCRを導入すれば、大量の文書をスピーディに読み取り、データ化できる可能性が高まります。従来のプロセスと比べてより効率的に書類をデジタル化でき、後続システムへのデータ連携や顧客へのサービス提供のスピードアップにつながります。

RPAとの連携でさらに業務効率が高まる

AI-OCRとRPAを連携すれば、業務効率をさらに向上できます。RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、定型業務を自動化する技術のことです。AI-OCRツールへのファイルのアップロードやデータのダウンロードなど手作業で実施していた業務もRPAで自動化でき、文書の読み取りからデータの抽出、ファイル作成やデータ入力までの一連の業務を自動化できます。

情報の活用範囲を広げられる

AI-OCRを活用すれば、データを整備して様々な分析等に活用することも可能となります。文書に記載されている情報を抽出して、社内情報を一元化したデータベースを構築すれば、従来は探すのに手間がかかっていた情報も迅速に検索できるようになります。さらにデータを生成AIに投入して付加価値を生み出すなど、情報の活用範囲を広げることが可能です。

AI-OCRを導入する際の注意点

AI-OCRを導入する際は、以下の4つのポイントに注意が必要です。

手書き文字を完全に認識できるわけではない

AI-OCRは高精度な読み取りが可能ですが万能ではなく、全ての手書き文字を完璧に認識できるわけではありません。手書き文字はバリエーションがあまりに幅広く、AI技術をもってしても全てのパターンに対応することは困難です。

また、AI-OCRを導入しても全てのプロセスを自動化できるとは限らず、人間の目視によるチェックはどうしても必要になります。

認識率はAI-OCRのエンジンによって異なり、それぞれ得意、不得意もあります。最終的な人的確認、必要に応じた人的修正をすることで、手書き文字を正確なデータとして活用することができるでしょう。

導入コストが高額になりやすい

AI-OCRの導入には、一定のコストがかかります。特に、自社でサーバーを構築するオンプレミス型は初期費用が高額になりがちです。一方、クラウド型は初期費用が低いものの、月額利用料やオプション料金などのランニングコストが発生します。

AI-OCRを導入する際は、導入コストを明確にした上で費用対効果を十分検討することが大切です。

セキュリティ対策が必要になる

AI-OCRで処理する書類や帳票には、機密情報が含まれる場合も多いため、セキュリティリスクへの配慮は不可欠です。

そのため、AI-OCRの導入時には、入念なセキュリティ対策が求められます。具体的には、データの暗号化やアクセス制限、多要素認証といった対策が挙げられます。また、導入後も定期的なセキュリティチェックや脆弱性診断を行うとともに、従業員への教育を実施するなど、リスクを最小限に抑えるための施策が必要です。

学習データの蓄積に時間がかかる場合がある

AI-OCRの認識精度は、膨大な学習データにより担保されます。そのため、手書き文字を高精度で読み取れるようになるまでには、データの蓄積に時間がかかる場合があるでしょう。

特に、非定型帳票では、事前学習や帳票ごとの一定の設定が必要になる場合が多く、未学習フォーマットへの対応は限界がある可能性があります。

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AI-OCRの読み取り精度を高めるには？

AI-OCRは従来のOCRと比べて高精度な読み取りが可能ですが、全ての手書き文字を完璧に認識できるわけではありません。AI-OCRの認識精度は、書類や環境により左右されます。

AI-OCRの読み取り精度をより高めるためには、スキャンの品質を向上させることが大切です。具体的には、以下のような取り組みが求められます。

• 高解像度（300dpi以上）のスキャナーを使用する
• 適度に明るい環境でスキャンをする
• 文字の配置や余白など、書類のレイアウトを最適化する
• 書類の汚れや破損を取り除く
• 書類を整え、傾きが生じないようにする

書類をスキャンしたあとは、OCRの精度を高めるために画像を適切に処理することが大切です。画像に含まれるノイズを取り除いたり、明るさやコントラストを調整したりして、画像の品質を向上させましょう。

また、読み取る文字の種類や認識範囲をあらかじめ設定しておくと、処理速度や認識精度の向上につながります。

まとめ

手書き文字を効率的にデータ化するなら、機械学習やディープラーニングの技術を用いたAI-OCRが有効です。従来のOCRシステムと比べて、手書き文字も高精度で読み取ることができます。実際の読み取り精度やサポート体制などを確認し、自社に適したツールを導入しましょう。

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