生成AI搭載AI-OCRとは？メリット・選び方から導入手順まで徹底解説

OCRとは

OCR（光学文字認識：Optical Character Recognition）は画像や書類をスキャンして、文字データに変換する技術を指します。紙の文書をデジタル化し、編集可能なテキストデータとして扱えるようになる便利な仕組みです。

従来のOCRは決まったフォーマットでは文字認識には高い認識率を持っていました。しかし、レイアウトが決まっていない帳票や手書き文字が混在する書類では精度が落ちてしまうのが難点でした。認識ができない、あるいは間違っている場合には手作業での修正が必要になり、結果として完全自動化は難しいケースが多くあります。

生成AI搭載のAI-OCRと従来のOCRとの違い

生成AIを搭載したAI-OCRと従来のOCRの違いは、機械学習技術による文字認識の精度が大幅に向上した点です。最大の違いは文脈理解能力にあります。生成AI搭載のAI-OCRは、手書き文字や画質の悪いスキャン画像でも、前後の文字から意味を推測して正確に読み取ることが可能です。

また、さまざまなレイアウトの文書に柔軟に対応し、学習を重ねるごとに認識精度が向上していく点も見逃せません。

AI-OCRの仕組み

AI-OCRは、書類に書かれた文字をテキストデータに変換する技術です。仕組みはシンプルで、まず書類からノイズを取り除いてきれいにします。次にAIが「ここに文字がある」と探し出し、その文字の形や線の太さといった特徴を読み取ります。

最後に、AIが大量の文字データで学習した知識を使って正しいテキストデータに変換をします。例えば、「これは『あ』だ」と判断し、正しいテキストに変換します。

生成AI搭載のAI-OCRを用いる3つのメリット

AI-OCRを導入することで企業が得られる具体的なメリットを整理します。これらの効果を理解しておくと、導入検討時の判断材料になるはずです。

1. 高い文字認識精度を実現できる

生成AI搭載のAI-OCRは従来技術と比較して、文字認識精度が飛躍的に向上しています。手書き文字や印刷品質の劣る書類でも条件によっては90%以上の高い読み取り率を実現することも可能な読み取りエンジンもあり、ディープラーニングにより継続的に精度改善されるため、運用期間が長くなるほど性能が向上するという特長があります。

特に複雑なレイアウトや多様な書体が混在する帳票でも安定した認識結果を得られるようになりました。

2. さまざまなフォーマットの帳票に対応できる

AI-OCRは請求書、契約書、申込書といった異なるレイアウトの文書を自動判別し、適切に処理することができます。統一されていないフォーマットの書類群、従来のOCRでは読み込みが難しかった非定型文書でも、AIが項目を識別して正確にデータを抽出してくれます。

項目・レイアウトが固定されている定型文書

項目は共通だがレイアウトが固定されていない非定型文書

項目もレイアウトも固定されていない非定型文書

※非定型フォーマット読み取りの事例（ＮＸワンビシアーカイブズ）

非定型文書も生成AIによる読み取り方式の進化により、文書の内容を理解して対象項目を自動抽出することが可能になります。

これまで手間のかかっていた多様な書類処理が大幅に効率化され、フォーマット変更にも柔軟に対応可能です。

3. システムとの連携で業務効率化ができる

AI-OCRは既存の業務システムとAPI連携し、読み取ったデータを自動インプットすることが可能です。実際に会計システムや顧客管理システムへの入力作業が自動化されることで、導入企業では作業時間削減と人的ミスの大幅な減少を実現しています。

ワークフロー全体が最適化されることで、従業員はより創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。

AI-OCRの3つのデメリット

AI-OCR導入を検討する際に注意しておきたい課題もあります。事前にこれらのポイントを把握し、対策を考えておくことが大切でしょう。

導入コストがかかる

AI-OCRシステムの導入には初期投資として数十万円から数百万円規模の費用が必要になります。ソフトウェアライセンス料、導入支援費用、従業員研修コスト、システム連携費用などを総合的に見積もる必要があります。

特に中小企業では初期投資額が負担になる場合もあるため、費用対効果を十分に検討し、段階的な導入計画が必要です。

読み取れなかった文字の補正が必要になる

どんなに高性能なAI-OCRでも認識率100%は困難なため、誤認識の修正作業は避けられません。複雑な書類や特殊な文字乱雑な手書きの場合は、読み取りエラーが発生し、人による確認や手入力の作業が発生します。

自社内で修正作業をする人員を確保することや、外部委託により読み取り確認を依頼するなどの品質管理の業務フローを決めることが効率的に運用を成功させるポイントとなります。事前に想定される修正作業量を算出し、運用体制に組み込むことが重要です。

縦書きに弱い傾向がある

AI-OCRは主に横書き文字に最適化されているため、縦書き文書では横書きよりも認識精度が低下する傾向があります。これは、世の中の多くの帳票が横書きで作成されており、AIも横書きの学習データを中心に学習しているためです。

AI-OCR導入までの4ステップ

AI-OCR導入を確実に成功させるための段階的な進め方をご紹介します。各ステップを着実に実行することで、導入リスクを抑えながら期待する効果を得ることができるでしょう。

1. 読み取り対象を決め、量を把握する

最初に処理対象となる文書の種類と月間処理量を正確に調査します。請求書、契約書、申込書などの文書種別ごとに分類し、処理頻度を把握します。この基礎データはシステム選定や費用算出の土台となるため、可能な限り詳細に調べることが重要です。

年間を通じた処理量の変動や繁忙期の処理能力も考慮して、適切なスペックを提供できるサービスを選定できるよう準備しましょう。

2. アウトプット先を確認する

読み取ったデータをどのシステムに送るのかを明確にしておく必要があります。会計システム、CRM、データベースなど、連携先システムの仕様を詳しく調査し、必要なデータ形式や転送方法を確認しましょう。

既存システムとの互換性を事前にチェックすることで、スムーズな導入につながります。データ連携時のセキュリティ要件や承認フローについても整理しておくことが大切です。

3. 各サービスを比較する

複数のAI-OCR製品を機能、費用、サポートの観点から総合的に比較検討します。要件をまとめた資料を作成し、各ベンダーから提案を受けて客観的に評価することが大切です。デモや試用版を活用し、実際の使用感を確認することも判断材料として活用しましょう。

評価表を作成して点数化することで、より客観的な製品選定が可能になります。

4. PoC検証を行い、本格導入するか検討する

候補に挙がった製品・サービスでPoC（概念実証：Proof of Concept）を実施し、実際の業務環境での効果を測定します。実際の環境下で想定した通りに機能するか、導入にあたるリスクはどのようなものか、そして導入したときの投資対効果があるかを判断することが必要になります。AI-OCRの導入の場合には、まずは限定的な範囲で試験運用を行い、認識精度、処理スピード、使い勝手を詳しく検証しましょう。

検証中に見つかった問題点は、本導入前に解決策を準備しておくことが成功の秘訣です。現場担当者からのフィードバックも必ず収集しましょう。

まとめ

生成AI搭載のAI-OCRは従来の文字認識技術を大きく進化させ、企業の文書処理業務に革新をもたらすソリューションとなっています。高い認識精度と柔軟なフォーマット対応により、幅広い業務場面での活用が期待できます。

また、AI-OCRの導入を検討の際は株式会社ＮＸワンビシアーカイブズの「AI-OCR × BPO」サービスもご検討ください。AI-OCRを活用した業務プロセスでは、帳票のスキャンやPDF化、読み取り設定、データの確認・修正、フォーマット変換、システム連携など多岐にわたる作業が必要です。

どのAI-OCRシステムを利用すればいいのか、わからない場合も、お客様の書類に最適のシステムを選定し、お客様に代わって読取を実施、きめ細かな確認・修正を行うことで高精度なデータをご提供できます。また、業務プロセス丸ごとのアウトソーシングにより、お客様の負担を大幅に軽減します。また、無料トライアルもご利用可能です。

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