銀行のDX推進 ~各行事例を基に金融業界のDXを考える~

  • デジタル化
  • 業務改革
  • 業界分析
  • 銀行DX

こんにちは。自由にカスタマイズできる、新しいデータマネジメントシステム「WAN-RECORD Plus®」を提供するNXワンビシアーカイブズです。

現在多くの企業がDX推進のために様々な取り組みを試みており、その取り組みは新聞やニュースメディアで取り上げられています。銀行業界でもDXに取り組み、既存のビジネスモデルを変革していこうとする流れが生まれています。

本ブログでは実際の銀行のDX事例を基に、業界の課題やポイントを解説していきたいと思います。

DX推進を加速させる新しいデータマネジメントシステムの資料ダウンロード

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとは「データとデジタル技術を活用してビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや企業文化を変革すること」と経済産業省では定義しています。

現在の企業で使われているシステムは古く、また事業部ごとに構築されているため全社的に横断してデータを活用できなかったりと課題が多くあります。このまま継続されると世界競争に後れを取り、多大な経済損失が発生する恐れがあるとしてDX対応が急がれています。
DXについての詳細な説明は過去のブログで解説しておりますので、こちらもご覧ください。

DX推進を加速させる新しいデータマネジメントシステムの資料ダウンロード

銀行でDXが注目されている理由

銀行業界で使われているシステムの多くは過去の技術や仕組みで構築されているレガシーシステムと言われています。2018年に経済産業省が調査した際、金融機関はこのレガシーシステム利用率は100%という結果になりました。このシステムに頼った企業活動には下記のようなデメリットが危惧されるため、銀行業界でDXが注目されています。

セキュリティ対策上で危険視されている

レガシーシステムを使用するデメリットの一つは前述したデータ連携のし辛さです。
銀行は顧客の個人情報や資産を保有しており、これを安全に確実に管理・運営していくための仕組みが絶対的に必要です。このレガシーシステムは新たなシステムなどとの連携が難しいため、何か新たな運用やデジタル技術を使っていきたいと考えても、既存のシステムとの互換性が悪いことから万が一のミスを恐れて導入することができませんでした。

しかしレガシーシステムは過去の技術や仕組みで構築されているため不安が残ります。これを開発・拡張する際には過去の技術を基に独自開発されていったため、保守の技術負担も増加しています。
恐れられているのが、この保守運用を行ってきた人材は2025年に定年を迎える可能性が高く、いつか保守運用体制が破綻し、システムトラブルやデータ消失などの恐れがあるということです。そのためシステムの刷新が急がれているのです。

競争力向上を目指す

銀行の競合は今や金融機関だけではありません。他業種の金融参入はよく見られており、現在は世界規模で支配的な影響力を持つ巨大IT(情報技術)企業であるビック・テックの金融業界の参入も注目されています。日本では既にiPhoneなどで有名なAppleが現在Apple Payを展開していますね。
彼らはデジタル技術に長けており、既に保有している顧客データを活用した金融サービス提供が期待されています。本格的に金融サービス展開を行った場合、主要銀行であっても顧客流出が危惧されており、これに対抗する競争力を向上することが急務であると考えられています。

彼等との競争を見据え、銀行は「顧客や社会のニーズを基にデジタル技術を活用して新たな顧客体験を生むこと」が求められています。しかしこの課題にレガシーシステムでは対応することが難しいのです。その理由はやはり欠点であるデータ連携のし辛さです。

レガシーシステムはそもそも特定の部署のみが活用・閲覧することが前提となっているため、全社的に保有データを組み合わせたり活用したりすることが難しく、顧客が本当に求めているニーズをデータ分析することが難しいのです。また上記に掲載したように、たとえ新たなデジタル技術を活用したシステムを導入したとしても、既存システムとの連携が難しいために手間が発生したりと、セキュリティ上で不安のある運用を余儀なくされます。

以下から実際の事例を基に、銀行業界がどのようなDX推進を行っているのかをポイントとともに見ていきましょう。

DX推進を加速させる新しいデータマネジメントシステムの資料ダウンロード

DX事例①:SMBCグループ

SMBCグループ D X-linkより

SMBCグループはあらゆる事業領域で顧客の利便性向上を目的とし、テクノロジーを活用した新規サービスの創造や既存サービスの進化を行ってきています。デジタル化を「守り」と「攻め」に分け、守りではインフラ基盤の改善と、自社の事務プロセス改善とコスト削減を目的としたIT化とで2つの領域に分けて推進されています。
SMBCグループは自社内の個々の業務をデジタルに置き換える「守りのデジタル化」と共に、非金融業のECプラットフォームや決済事業者などの競合を意識し、今後の銀行業界があるべき姿を考えたようです。銀行の三大機能(①預金、②貸付、③決済)での活動だけでなく、顧客の本質的なニーズを突き詰め、「攻めのデジタル化」としてDX支援をするサービス展開を始めたようです。

また守りのデジタル化として、顧客向け運用リポートなどの定型業務の自動化について三井住友FGの事例があげられます。従来は営業担当者が毎朝出社後に、その日訪問する顧客向けのリポートを手作業で作成していましたがこれをRPA化、作業時間を8割削減できたといわれています。

参考:
デジタル社会実現へ向けた SMBCグループの取り組み(株式会社三井住友フィナンシャルグループ デジタル戦略部)
「もはや銀行である必要はない」三井住友FGの専務が明かす、DX攻防戦の覚悟(ダイヤモンドオンライン インタビューより)
「銀行は将来、もはや銀行である必要がない」デジタル時代の金融に求められるものとは。(デジタルシフトタイムズより)

DX推進を加速させる新しいデータマネジメントシステムの資料ダウンロード

DX事例②:三菱UFJフィナンシャル・グループ

三菱UFJフィナンシャル・グループDXサイト「INNOVATION HUB」より

三菱UFJフィナンシャル・グループでも「世界が進むチカラになる。」というパーパスを基にDXへの取り組みを推進しています。ペーパーレスや電子化などのデジタル技術を活用した既存業務の改善を「Improve」、外部事業者との連携によって既存のビジネスを改善し、新たな顧客体験を創出していくことを「Reform」、そして新たな事業展開を「Disrupt」と3つの分野に分けて、様々な取り組みを行っています。

既存業務の改善には様々な企業との協業を行い、電子化やペーパーレスを実現してきています。住宅ローン契約書の電子化は銀行全体で約95%まで推移しており、さらに法人取引における契約書の電子化の拡大も進めているそうです。

参考:
MUFGがDXで拓く次世代の金融(JBpress Digital Innovation Review)
MUFGの経営戦略(2022年10月4日三菱UFJフィナンシャル・グループ公開)

DX推進を加速させる新しいデータマネジメントシステムの資料ダウンロード

DX事例③:ふくおかフィナンシャルグループ

ふくおかフィナンシャルグループ HPより

主要銀行だけでなく、地方銀行でもDXに取り組んでいる事例はあります。
ふくおかフィナンシャルグループでは2019年4月から明確にDXを基本方針の一つに掲げ、様々な金融商品取引の電子化や完全非対面のみんなの銀行などで注目されてきました。また顧客に対してのDXだけでなく、自社内も業務プロセス再構築としてデジタル技術を活用した抜本的な業務見直しをしています。ペーパーレス化、印鑑レス、バックレス化などで約2割の効率化を実現し、その削減された人員・ 時間・空間などのリソースを捻出して“コア事業の磨き上げ”や“新しい取組みへのチャレンジ”に取り組んできました。

業務プロセスの再構築の一環として、2021年には複数のAI-OCRとRPAを活用し、既存の為替システムから連携された振込依頼書をデータ化、データベース連携・自動入力が可能となった実績を公表しています。
これも含めた2019年からのDX戦略の実績を基に、現在の第7次中期経営計画でも更なる成長を図っていくとしています。

参考:
第6次中期経営計画(ふくおかフィナンシャルグループ)
第7次中期経営計計画(ふくおかフィナンシャルグループ)
AI-OCR with RPAによる業務の効率化について(ふくおかフィナンシャルグループ)

DX推進を加速させる新しいデータマネジメントシステムの資料ダウンロード

銀行業界のDX事例から感じる事務効率化の波

上記以外にも様々な銀行がIBMなどのIT企業と提携し、そのニュースが取り上げられています。それらを見るに、各行のDX戦略は“デジタル技術を活用した事務効率化によって、確保したリソースをコア業務の拡充や新規サービスの開発に充てたい”とする流れが感じられます。
今までは新たなデジタル技術の活用には向いていないと思われていた銀行業界ですが、実は事務効率の観点でいうと銀行の導入は相性がいいとされているのです。

現在デジタル技術でカバーできる作業は「定型的な事務作業」が中心です。企業活動を行う上で様々な業務がありますが、意思決定などが絡む業務は自動化することは難しいです。しかしすべての工程手順が決まっている定型業務はRPAによる自動化が可能であり、人の手で行うより高速処理が期待できます。またRPAは大量のデータ処理にも耐性があり、データベースの入力や編集、データ分析業務も高速処理することが可能です。

さて銀行の事務業務は絶対に間違いがないよう、様々な事務業務を定型作業に落とし込み、日々の大量の処理を人の手で行ってきました。ミスが無いように行ってきていたため、人も時間も空間も大量のリソースを割いてきていた状況でした。これがRPAの特性とマッチしているため、銀行業界ではデジタル技術を使用した事務効率化が注目されています。
そして余剰のリソースを企業成長に充てていこうとしている流れが多いと感じられます。

DX推進を加速させる新しいデータマネジメントシステムの資料ダウンロード

NXワンビシアーカイブズができる事務効率化

このような流れから考えると「デジタル化すると全て業務削減され楽になる」と考えられそうですが、これは実は間違いになります。すべての作業をデジタル化できることは現状難しいためです。

この理由に、現状だとすべての書類を無くすことが難しいことがあげられます。例えばこれから発生する書類を全て電子文書にしたとします。それを実現するためにどれだけのコストが必要なのかを考えたら、実現の難しさが分かりますね。 またこれから発生する書類を例えば全て電子文書にしたとしても過去発生した書類があるため、やはりすべての作業をデジタル化することは現状難しいのです。 何か処理を行う際、過去の書類を引っ張って作業した経験は皆さんお持ちではないでしょうか?銀行業界においては特に過去提出書類や取引データを照らし合わせて作業されることは多くあると思います。
この過去の書類を全て電子化して、すべての作業がデジタル環境上で完結してしまえば“楽になる”という考えは間違いではありませんが、これもコストを考えただけで困難であると言わざるを得ません。1日2日で対応できる量ではないでしょう。
このような状況でデジタル化することが業務の削減につながるかと言われると、「削減されるものもあるけれど、新たに必要な作業も発生する」が正しい捉え方だと私たちは考えています。

銀行業界はこれからの情勢を考え、DX推進は必要不可欠だと考えられます。ですが「コストや業務プロセスの再構築に不安があり、取り組めない」と不安を抱えている方もいらっしゃると思います。 そのような課題をお持ちのお客様にこそ私たちNXワンビシアーカイブズは支援できると考えております。
私たちは創業以来、多くの金融業界のお客様と共に情報管理プロセスを構築してきました。銀行の事務プロセスを熟知している私たちだからこそ、電子化サービスを活用して、お客様の業務プロセスの再構築ができると考えております。
電子化する書類を精査して電子化業務を代行することも、必要な際にオンデマンドで電子化したデータを配信することも、お客様のご都合に合わせてフレキシブルに対応することが可能です。また電子化だけでなく、AI-OCRを活用したBPOサービスも提供している実績があります。

業界での実績などについてはこちらのページで取り上げておりますのでご興味ある方はご覧ください。

DX推進を加速させる新しいデータマネジメントシステムの資料ダウンロード

まとめ

銀行業界は将来厳しい競争が予想されています。現在のレガシーシステムからの脱却と共に、新たな顧客体験を創出しなければならないことから、現在のリソースの再分配が必要になってきていると感じられます。だからこそ業務プロセスの見直しを行い、自動化できるもの、アウトソーシングできるものを見極めて、新たな価値を創造していくことを、私たちは支援していきたいと考えています。

執筆者名プロフィール

執筆者名 花 理恵子

株式会社NXワンビシアーカイブズ 
営業統括部 営業1部所属

銀行・証券会社を中心とした金融業界担当の営業部、営業1部で活動中。

お問い合わせ

ご不明な点やご要望などお気軽にご連絡ください。

お問い合わせフォームはこちら

お電話でのお問い合わせはこちら

03-5425-5300
営業時間
平日9:00~17:00

RECENT POST「業種別 : 銀⾏・証券・ノンバンク」最新記事

RECENT POST「目的別 : DX推進支援」最新記事

RECENT POST「サービス別 : 電子化」最新記事

RANKING TOP3 ランキング上位記事

検索する
業種から探す
目的・課題から探す
サービスから探す

お問い合わせ

ご不明な点やご要望などお気軽にご連絡ください。

お問い合わせフォームはこちら

お電話でのお問い合わせはこちら

03-5425-5300
営業時間
平日9:00~17:00